コリアテレコム,イー・アクセスと提携して日本市場に本格参入

韓国シェアナンバーワンのDSL事業者,コリアテレコムが動き出した。まず,イー・アクセスとの提携によって日本市場での地歩を固める。

【国内記事】 2001年7月5日更新

 イー・アクセスとコリアテレコム・ジャパンは7月5日,戦略的提携に合意したと発表した。コリアテレコムは,ブロードバンド先進国の韓国で6割のシェアを握る事業者。両者は,技術面およびマーケティング面で互いにノウハウを提供するほか,秋にはコンテンツ配信サービスの実験を開始する。コリアテレコムは,「将来的に,一般ユーザー向けサービスにも参入する意思がある」(同社広報)としており,ヤフーに続く台風の目になる可能性もある。

 両者の合意内容は以下の4点。

ビル向けのDSLサービスを共同展開

 コリアテレコム・ジャパンが販売するビル向けのDSLサービスに対して,イー・アクセスがADSLおよび光ファイバーの回線を提供する。国内のDSLサービスでは,NTT局舎内にDSL機器を設置しているが,コリアテレコムのサービスでは,ビルまではイー・アクセスの回線を使い,そこからHomePNAやEthernet over ADSL(7月4日のNewsを参照)で各戸(各フロア)に割り振るという方式。韓国では専用線などを使って一般的に行われている方法で,電話局との距離に左右されにくい,ユーザーが集めやすい,コストが安いなどのメリットがある。同社では,「ユーザー拠点に近い場所にDSL機器を設置することで,より大規模で高速なネットワークの構築が可能になる。ローカルアクセスは10Mbps以上の回線速度を実現する」としている。

コリアテレコムが法人向けDSLサービスを展開

 コリアテレコム・ジャパンが法人向けのISPサービスを展開し,イー・アクセスが回線を提供する。イー・アクセスは,大塚商会(α-web)やキヤノン販売(Canonet)などにADSL回線をホールセールしているが(事業者データベースを参照),今回も同様の形になる見込みだ。

DSLサービスにおけるノウハウの交流

 韓国で300万人のユーザーを抱えるコリアテレコムが蓄積した,大規模なDSL事業展開における技術面およびオペレーション面のノウハウをイー・アクセスに提供する。一方のイー・アクセスは,日本独特の市場環境やISDNとの干渉問題に関するノウハウを提供する。

共同のコンテンツ配信実験

 コリアテレコムが展開する日本向けのコンテンツサービスにおいて,イー・アクセスが通信技術や環境整備の面で協力。9〜10月から実験を開始し,年内の商用化を目指すという。サービスには,韓国で展開しているネットワーク対戦型ゲームや音楽・映像・教育・放送などのエンターテインメント・コンテンツが含まれる。なお,イー・アクセスは,今年5月からコンテンツ配信の公開実証実験に参加しているが(4月24日のNewsを参照),自社でコンテンツサービスを提供する意思はないという。「われわれは,ISPが提供するコンテンツ配信で,仕組みを整えるのが仕事。自分で売ることはない」(イー・アクセス)。

 今回の提携で明らかになったのは,コリアテレコム・ジャパンが本気で日本市場に参入しようとしていることだ。しかし,オフィスビルはともかく,日本の集合住宅事情(7月4日の記事を参照)に韓国方式が通用する保証はなく,一般ユーザー向けでも「Yahoo! BB」が価格破壊を宣言した後だけに困難が予想される。韓国ナンバーワン事業者がどこまで踏み込んだ事業を展開するのか,しばらくは目が離せない。

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関連リンク
▼ コリアテレコム・ジャパン
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[芹澤隆徳,ITmedia]

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