パワーバンド,CATV会社と提携してサービスエリア拡張へ

マンションに特化したブロードバンド・プロバイダーのパワーバンド コミュニケーションズは,CATV事業者と連携してサービスエリアを拡大する方針を明らかにした。その第1弾として,東京都港区でサービスを提供している「ROSENET」の回線を利用し,8月1日からサービスを開始する。

【国内記事】 2001年7月16日更新

 パワーバンド コミュニケーションズは7月16日,「ROSENET」が敷設したアクセス回線を利用してマンション向けの常時接続サービスを8月から提供すると発表した。ROSENETは,ケーブルテレビジョン東京およびケイエムエヌが運営するCATVインターネットサービス。この提携を皮切りに,全国各地のCATV会社との提携を進め,サービスエリアの拡大を急ぐ。

パワーバンド コミュニケーションズの社長兼CEO,ロデリック・ボス氏

 パワーバンド コミュニケーションズは,CATVの同軸ケーブルをマンションに引き込み,各世帯にHomePNAによる最大1Mbpsのインターネット接続サービスを月額4300円で提供している(5月31日の記事を参照)。6月に本格サービスを開始した同社は,既に約300棟のマンションと契約し,1200世帯のユーザーを確保した。現在は,親会社のチガ・サービスセンター(現パワーバンド)が敷設したCATV網をベースとして,東京近郊に74のセルを構築中だが,これにROSENETの回線敷設地域を加えることで,「都内に6万棟あるマンションのうち,3分の1がサービス対象になる」(パワーバンドの森正彦COO)計算だ。

パワーバンドのサービス構成図。マンション内は既存の電話線を用いるため,改修工事が不要だ。また,オーナーや管理組合に工事費用を負担させない点も特徴

それぞれの都合

 自社でインターネットサービスを提供しているはずのCATV事業者が,パワーバンドと手を組む背景には,マンションに敷設されたケーブル網の不備がある。パワーバンドのロデリック・ボス社長によると,「もともと,TV視聴を目的にCATVを引いたマンションでは,多くの場合,双方向通信(インターネット対応)を行うための変換設備がない」という。これは,マンションの建設時に,敷設費用が少なくて済む“片方向化”を多くのオーナーが選択したため。改修工事には,全世帯分のアンプとフィルタを移設,もしくは交換する必要があり,1棟あたり300〜500万円のコストがかかるという。これに対し,パワーバンドのサービスは,電話線に重畳するHomePNAで各世帯に分岐する方式。マンションのMDFに機器を接続する必要はあるが,構内回線に変更を加える手間やコストを最小限に抑えることができる。

 一方,パワーバンドにもCATV事業者と手を組まなければならない理由があった。サービスエリアを広げようとすれば新規に回線を敷設する必要が生じる。しかし,新たに電柱の使用許可を取得しなければならない場所や,ROSENETがサービスを展開している港区のように“無柱化”(電線や電話線を地中に埋め,電柱をなくすこと)が進んでいる場所では,エリア拡大に時間とコストがかかる。敷設済みの回線を持つCATV事業者と組むことで,これらのロスをなくすのが目的だ。

 同社では,ROSENETとの提携を足がかりとして,東京都,千葉県,埼玉県,神奈川県,愛知県,大阪府,兵庫県,京都府など大都市を抱える地域のCATV事業者と同様の協力関係を結ぶ構え。既に複数の事業者と交渉を進めており,これによって早期のエリア拡大を図るという。「将来的には,バックボーンの共同運営やコンテンツ配信ネットワークへの対応なども視野に入れ,CATV事業者と協力していく」(ボス氏)。

 また,アクセス回線の高速化についても積極的な姿勢を見せている。同社のサービスでは,1チャンネルで30Mbpsの帯域幅を持つ同軸ケーブルを利用するため,構内で利用する技術さえ変更すれば広帯域化は容易だ。パワーバンドの森氏は,「構内ADSLやVDSLの導入を検討中だ。年内にも,何らかの形でスピードアップを図りたい」と話している。

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[芹澤隆徳,ITmedia]

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