韓国ベンチャーの集う「Net Communication 2001」開幕

東京国際フォーラムで「Net Communication In Korea & Japan 2001」が開幕した。G.dmtとG.liteの自動切り替え機能付きADSLモデムやiモード用の麻雀ゲームなど，注目の展示を紹介。

【国内記事】

2001年7月25日更新

　“第3次韓日文化／IT産業ビジネスフェア”と題した「Net Communication In Korea & Japan 2001」が開幕した。教科書問題の影響で，韓国との文化交流イベントが各地で中止されているが，ことビジネスが絡むと話は違うらしい。今年は「ブロードバンド」をキーワードに，ITやコンテンツ制作の技術を持つ韓国のベンチャー企業40社が，丸の内の東京国際フォーラムに集まった。

　展示会場自体は小規模ながら，ネオンサイン（広告照明装置）開発からアニメキャラクターの制作会社まで，幅広い展示を見ることができる。各ブースはジャンルごとに整然と分けられており，IT関連企業が20社ともっとも多い。その中で目に付いたブースをいくつか紹介しよう。

スマートなADSLモデムを展示

　Net＆SYSブースでは，ケーブルモデムやADSLモデム，そしてVDSL装置などが展示されている。同社は，5カ月ほど前に伊藤忠コミュニケーションズと代理店契約を交わし，日本市場へ本格的に売り込む体制を整えた。

　コンパクトサイズとスマートなデザインが特徴のAnnex C対応のADSLモデム「MD3000RJ」。G.dmt（最大8Mbps）とG.lite（最大1.5Mbps）の自動切り替え機能付きだ。今夏出荷予定。

　DOCSIS1.0対応のケーブルモデム「My NetGate1000」。ダウンストリームは最大42Mbpsだ。このほか，上記のADSLモデムと同デザインのケーブルモデム「MNG-2000」もラインアップしている。

　オフィスやホテルへの導入が進みつつあるVDSLシステム。1.2キロまでの距離で最大12.5Mbpsの通信が可能になる。NECや住友電工といった国内メーカーもVDSL装置の製造に乗り出しているが，同社によると「国内メーカーよりも“かなり”安く提供できる」という。

　SEVOI（セボア）のインターネット電話キット「IVY PHONE」。ダイヤルはソフトウェアで行う。ヘッドセットを接続してハンズフリーフォンとして利用できるほか，通常の電話機を繋いで「PCの操作に慣れない人でもインターネット電話を利用できる」のが特徴だ。予め電話番号簿を制作しておけば，IPアドレスに自動変換してくれる。このほか，インターネットラジオの受信や通話中にBGMを流すといったユニークな機能も持つ。

日本への売り込みに熱が入るゲーム企業

　バンダイと韓国ゲームベンチャーの提携が記憶に新しいが，それに続けとばかりに韓国のオンラインゲームベンチャーたちが日本メーカーへの売り込もうとしている。ただし，彼らのターゲットは日本だけにとどまらない。台湾や香港，中国までを視野に入れた販売戦略を立てている。

SD GAMEのブース

　例えば，P2Pの麻雀ゲーム「MJ 麻雀」を出展したMJ GAMESは，既に中国でサービスを開始しており，日本でもいくつかのゲームメーカーと交渉を進めているという。「MJ麻雀では，ゲームサーバがゲームマッチングを行ったあとはP2Pでゲームが進行するため，プロバイダーのコスト負担を8〜9割削減できる。もっとも通信事情の悪い中国で成功したことが，われわれの技術的優位を証明している」（同社）。

　また，MJ 麻雀はJAVA版がある点も特徴で，とくに日本向けにiモード用のサンプル画面を制作してくるという念の入れようだ。「画面の狭い携帯電話で重要なのはインタフェース。ゲームの進行や牌が判別できるようにデザインするのに苦労した」という。「日本版は1カ月あれば開発できるだろう」（同社）。

　実際，MJ GAMESのブースには大手国内ゲームメーカーの名刺がいくつも置かれており，関心の高さを伺うことができた。近い将来，iモードなどの携帯電話でMJ麻雀をプレイできるようになる可能性も高い。

　このほか，Net Communicationの会場にアニメーション／キャラクター制作会社が10社も参加しているのが印象的だった。韓国企業がアニメ制作の下請けで躍進しているのは意外と知られていないが，例えば，大ヒット中のスタジオジブリ作品「千と千尋の神隠し」でも，遅れたスケジュールを取り戻すため，動画制作の一部を韓国企業に依頼したという。世界に冠たるジャパニメーションでさえも，既に韓国パワーなしでは成り立たない。韓国政府は，教科書問題の報復措置として日本文化の流入を規制する方針を明らかにしているが，両国が経済の復興と市場の拡大を目指すなら，お互いに前向きな姿勢を見せてほしいものだ。

　Net Communication In Korea & Japan 2001の開催期間は，25日水曜日〜26日木曜日（午後5時まで）。入場料は1000円。

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