Big Pipe:ブロードバンドのアクセス回線,その市場規模は?(2/2)無線,衛星,携帯電話また,固定型の無線系システムも注目されている(図5)。免許のいらない2.4GHz帯を利用した無線LANである。スピードネットがこれに当たる。現在は,5GHz帯の割り当てを申請中。ここは周波数帯が気象レーダーと重なっているが,実現すれば30Mbpsの高速無線インターネットが実現する。NTT地域会社やKDDIが実験を開始している。また,免許を必要とし,15GHz〜30GHz帯の周波数を利用しP-Pで最大156Mbps,P-MPで最大6〜10Mbpsを実現するFWAもある。ソニーの「Bitdrive」,CWCなどが事業展開中だが,今のところは企業間通信サービスのみである。 衛星を利用したIPマルチキャストによって全国にコンテンツを一斉に同報配信するサービスも注目されている。コンテンツデリバリ配信サービスとして外資系の企業も含め参入が多い。ISPのストリーミングコンテンツのバックボーンサービスとして利用されようとしている。 【図5 固定無線】
最後に,移動体無線として3Gがある。NTTドコモとJ-フォンが提供するW-CDMAと,KDDIのHDR。とくに,NTTドコモとしては既存のPDCでは既に周波数帯の不足が深刻化しており,否が応でも事業を展開しなければならない。 【図6 移動体無線】
市場規模は?ではアクセス回線事業者数は今後2005年まで,どのくらい規模になるのであろうか? 総務省と筆者の予測を掲載した。 (図7・図8) 【図7 ブロードバンド加入世帯数予測】(単位:万世帯)
総務省郵政事業庁(旧郵政省)「2005年へ向けたe-Japan超高速ネットワークイニシアティブ」
【図8 ブロードバンド系インターネット接続世帯数推移・予測】
総務省の加入世帯数の推移・予測はIT戦略会議で決められた目標値の試算例である。2005年の超高速インターネット網のFTTHの加入世帯数は900万世帯,CATV,DSL,FWAの高速インターネットが1590万世帯であり,総計2494万世帯がブロードバンド加入世帯数となる。IT戦略会議の2005年の目標に比べ,超高速インターネットが100万世帯,高速インターネットが410万世帯少ない。しかし,ここではFTTHが加入者系光ファイバー整備率の推移で特別融資や税制優遇等の政府支援があり,2005年までに全国整備が完了する場合の前提において試算されている。従って,実際には2005年の全国整備の完了は実現困難と想定し,経済合理性で考えれば,今後整備率が下がった場合,それに応じて加入世帯数は上記数値よりも減少するものと考えられる。この点から言えば,IT戦略会議で唱えられている数値はあくまでも目標にしか過ぎない。 ただし,政府は料金設定が低くなればブロードバンド加入世帯数は増加するとしており,この試算は大きく上方修正されるとしている。FTTHの場合,4〜12Mbpsで月額3000〜6000円,DSLが0.5〜3Mbpsで月額1000〜3000円,CATVが4〜6Mbpsで1000〜3000円としている。有線ブロードのFTTHは更に低価格だが,全国整備を行なう体力はないし,NTTについては全国で敷くものの,コストが高く,料金を高めに設定せざるを得ない,従って,低価格化と2005年の全国整備完了は難しいため,上方修正は政府の支援がない限り難しいといえよう。赤字財政が続く中,どこまでできるか注目される。 筆者の場合は,ブロードバンド加入世帯数予測を政府の試算よりシビアに見ている。2005年でFTTH加入者が391.4万世帯,ブロードバンド接続加入世帯が1470万世帯とし,国内総世帯数に占める割合は29.3%である。これは政府予測よりもFTTHで500万,ブロードバンド全体で900万世帯も少ない予測である。これはNTTの接続料金が高いこと,光ファイバー加入者網の全国整備率を2010年で100%という,現段階では現実的な数値に基づいて試算したためである(政府は2005年で整備率100%としている)。2005年の米国でもブロードバンド加入者数が2880万世帯であり,加入者比率も40%前後と考えると,妥当な数値であると思われる。政府の目標値を実現可能数値と考え,夢を見て誤った方向に陥らないで頂きたい。とはいえ,筆者でさえ,ブロードバンドはわずか5年で1000万メディアに到達するスピードを持つと予測しているのだ。 [根本昌彦,ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
最新スペック搭載ゲームパソコン
FEED BACK |