So-netがJustNetを買収〜目的は会員規模の拡大

ソニーコミュニケーションネットワークが,ジャストシステムの子会社で「JustNet」を運営するウェブオンラインネットワークスを買収する。その背景には,ブロードバンドの普及に伴う市場環境の変化がある。

【国内記事】 2001年9月5日更新

 ソニーコミュニケーションネットワーク(SCN)とジャストシステムは9月5日,ジャストシステムの子会社で「JustNet」を運営するウェブオンラインネットワークス(WON)の全株式を,SCNが18億円で買収することを発表した。

 これにより,WONは10月1日付けでSCNの100%子会社となる。ただし,WONの長井定一社長は留任するほか,「JustNet」ブランドとサービスも当面存続させる方針だ。ソニーコミュニケーションネットワークの山本泉二社長は,「いずれは統合するが,今すぐではない。半年から1年かけて,スムーズな移行方法を検討する」と話している。

左からジャストの浮川社長,SCNの山本社長,WONの長井社長

 山本氏によると,「(買収の)第1の目的は会員規模の拡大」。JustNetの会員数は約34万人(コンテンツのみの会員を含む)で,SCNの「So-net」(約171万人)と合わせれば200万人超となる。「SCNは会員規模を拡大し,ネットワークやオペレーションの共通化など,コスト低減を図る。接続サービスやコンテンツ面で相乗効果を期待している」(山本氏)。

 So-netが会員数の拡大を狙う背景には,ADSLやFTTHを使った新しい回線事業者が登場したことで,インフラとISPサービスが切り離されつつある状況がみえる。ISPは既に接続サービスからコンテンツ事業に軸足を移しているが,「通信インフラよりも上のレイヤーで争うとき,統合による会員増は大きな意味を持つ」(山本氏)ためだ。エリア拡大がインフラ投資に直接はね返る接続サービスに比べ,コンテンツ事業はユーザー数が多いほど調達や配信にかかるコストを効率化できる。「価格競争力と付加価値をいかに高めるかが焦点だ。(会員増による)付帯サービスを提供できる力が必要」(WONの長井社長)。

 一方,WONの売却を決めたジャストシステムの浮川和宣社長も,その理由に「ブロードバンドの普及」を挙げた。「ブロードバンド化とともに,より大きな投資が必要になった。われわれのような中堅ISPが今後どうサービスを展開するべきかと考えたとき,専業の他社と提携したほうがユーザーにメリットがあると判断した」(浮川氏)。ISP事業を切り離したジャストシステムは,今後,日本語技術やナレッジマネジメント関連の製品サービスに注力する方針だという。

 JustNet事業は,6年前の1995年8月に開始。2000年3月にはジャストシステムのISP部門を分社化する形でWONを設立した。2001年3月期の売上高は22億8900万円。しかし,加入者増を狙って開始した「SOTEC-JustNetスターターコース」(インターネット接続料が毎月10時間まで1年間無料になる)などの先行投資がひびき,1300万円の赤字を出している。

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[芹澤隆徳,ITmedia]

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