多機能化が進むADSLモデム──WORLD PC EXPO 2001レポート

仕様の異なるADSLサービスをカバーするADSLモデムが増えてきた。しかし,接続検証に手間取り,なかなか販売できないケースも……?

【国内記事】 2001年9月19日更新

 2月の売り切り制開始後,ADSLモデムは,製造メーカーの増加とともに商品の幅を広げてきた。「WORLD PC EXPO 2001」でも,ADSLモデムの新製品をいくつかみることができる。

PURPOSEの「PAR-5153」。価格は1万4800円

「PURPOSE」ブランドの高木産業は,先日発表したADSLモデム内蔵の1ポートルータ「PAR-5153」を展示。さらに,無線LANのアクセスポイントを追加した新製品を参考出展している。

 PAR-5153は,Yahoo! BBが採用しているAnnexAと,NTT東西地域会社やイー・アクセスなどのAnnexCを両方サポートするADSLモデムだ。そのうえ,G.liteとG.dmtに対応している。ただし,まだキャリア各社の接続試験が終了していないため,「10月初めに出荷を予定しているが,当初は通販のみで扱う。動作確認が終了した時点で店頭販売を開始する予定だ」(同社)。

こちらが新型のプロトタイプ。ネジ止めが目立つ

 一方,PAR-5153と同じデザインで色が異なるのは無線LANのアクセスポイントまで内蔵する新型機。まだ開発中だが,年内の出荷を目指しているという。価格は4万円程度になる見込みだ。

全部入りADSLモデム

 マザーボードで有名なASUSTekブースには,ADSLモデムをはじめとして各種の通信機器が展示されている。たとえば,「ワイヤレスADSLスイッチルータ AAM6030VI」は,北米仕様のAnnexA,欧州仕様のAnnexB,そして日本仕様のAnnexCのG.liteおよびG.dmtに対応するADSLモデムだ。さらに,IEEE 802.11b無線アクセスポイントやルータといった,現在考え得る機能をすべて盛り込んだ,まさに“全部入り”。

ASUSTekの「AAM6030VI」

 このほか,ASUSTekブースにはUSB接続のADSLモデムやケーブルモデム内蔵の無線ルータなども展示されている。同社の説明員によると,いずれも既に開発は終了しており,OEMパートナーが決まればすぐ生産できる状態だという。

富士通のADSLモデムは同社のパソコンと同じ色

 このほか,富士通ブースには,7月の「富士通ソリューションフォーラム2001」などにも出品されたG.lite AnnexCのADSLモデムが展示されていた。こちらも年内には出荷される予定だ。富士通では,将来的にADSLモデム内蔵型のPCをリリースしたいと話している。

 多様化の進むADSLモデムだが,一方で不安材料もある。たとえば,勢いのあるYahoo! BBには,市販モデムを利用できる「モデムなしメニュー」が存在せず,NTT東西地域会社も「接続検証に積極的ではない」(あるADSLモデムベンダー)という点。「フレッツ・ADSL」の場合はメーカーが独自に検証を行うケースもあるようだが,キャリアとの協力関係が築けなければ,あとでサポート上の問題が生じる可能性も高い。各メーカーが店頭売りになかなか踏み切れない事情は,このあたりにあるようだ。また,各サービスで仕様が異なるのも一因だろう。

 かつてのアナログモデムやISDN TAのように,ADSLモデムを気軽に購入できるようになるまでには,まだ越えなければならない壁が多いようだ。

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[芹澤隆徳,ITmedia]

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