ストリーミングで発信しよう!

夏の思いでをビデオに撮るのもいいけれど,今年は趣向を変えてストリーミングに挑戦してみませんか? ちょっとひねくれた著者が誘う魅惑のストリーミングの世界。

【国内記事】 2001年9月21日更新

 この夏,皆さんはどこへ出かけましたか? 猛暑の予感を抱きつつ,結局のところは寒い日が続き,水不足の不安におののきつつ,台風の連発にウンザリするという,久々にワケのわからない夏ではあったが,まあ,家族そろってお出かけして,ビデオ撮影などしてきた方も少なくないと思うのだ。結構なことである。

 だが,多くの場合,そのビデオは1回見ればそれでお終いになってしまう。あまりにももったいない話である。そこで,これを何とか活用してストリーミング配信などしてみてはいかがだろうか?

 「……という記事を作りませんか?」というのが編集部からの依頼であった。

 何気なく承諾してしまったのだが,よくよく考えてみると,これは実は素晴らしい企画である。どこが素晴らしいかというと,

  1. ストリーミングであれば,ちょこちょこっと小さい画面で再生して「見たよ」と言ってしまうことができる。人様の家の「恥ずかしい家族愛」をあまりマジメに見なくても済むのが素晴らしい
  2. 「上映会」などという大袈裟なものを開かなくてもよいのが素晴らしい。それほど仲の良い人でない人に対しても, 「最近,ちょっとパソコンに凝ってて,ストリーミングっていうの,やってみたんだ。暇だったら見てよ」 と,本当は「恥ずかしい家族愛」を見せたいだけのクセに,「ストリーミングという技術を見てくれ!」と,うまくカムフラージュすることができる。

 さらに,上映会なんてものを開かれると,参加するほうもマジメに見ないと怒られそうだが,遠方でストリーミング受信しながらヤジを飛ばす分には誰にも文句を言われない。ヤジというのは,ホラ,年賀状をもらった時に思わずつぶやく,アレである。

「オイオイ,なんでガキしか写ってねーんだよ。俺はオマエの友達であって,オマエのガキの友達じゃねーんだよ」

っていうやつ……。

 というワケで,ストリーミング配信というものは非常に効果的な技術である(しかし相当ひねくれてるな,私は……)。

ストリーミングのサービスの種類

 まず,Web上でストリーミングを行いたい人にはどんなサービスが用意されているか,考えてみよう。

1. おまかせメディア変換サービス

 これは,DVテープやVHSテープを送ると,デジタイズして,ストリーミング用に圧縮してくれて,さらにストリーミングまでしてくれるというサービスである。実はこの手のサービスを使うのであれば,何も考える必要はない。テープさえ簡単に編集して送れば,配信までやってくれるのである。

2. サーバホスティングサービス

 これはストリーミングサーバの部分を肩代わりしてくれるサービス。要するに,ストリーミング用のデータ作成までは自分でやって,あとはアップロードするだけというものである。

 数からいえば,後者のホスティングサービスのほうが圧倒的に多い。なので,ここでは,ホスティングサービスを使うことを前提として,これらのサービスに辿り着くまで,どのようなことをしたらいいのか,簡単に解説したい(実際のサイトについては最後に紹介する)。

まずは撮影機材を考えてみよう

 夏の思い出をいざストリーミング,と行く前に,一応,撮影機材のお話も一通りしておきたい。どんなカメラを使うのが良いのか? 今さら言われても困るとは思うが(そもそも,夏の思い出を活用するという企画じゃねーのか?),これは是非,次の機会の参考にしてほしい。

1. 通常のDVカメラ

 やはり,これを使う人が一番多いだろう。ミニDVテープに記録されるデータは,既にDVフォーマットのデジタルデータなので,劣化なしにIEEE 1394端子がついているパソコンで取り込むことができる。あとはパソコン上で編集すればよいワケである。

 と,良いことづくしのように思えるが,私は言いたい! せっかくデータがデジタルなのに,メディアがテープなのである。パソコンに5分のデータを取り込むのに5分かかってしまう。また,複数の場面を取り込むために早送り,巻き戻しをくり返す必要があるのだ。アナログのビデオの世界を経験してきた人達にとっては当たり前の作業だが,せっかくデジタルなのにこういった行為を繰り返すのは,はっきり言ってバカバカしい。クオリティの面では○だが,扱い易さの面で×といったところか。

2. MPEG-1撮影型(ネットワーク ハンディカムなど)

 ソニーのCMでお馴染みの「ネットワーク ハンディカム」などがこれである。MPEG-1で記録したものをメモリースティックに記録することができるので,随分とデータそのものが扱い易くなるというワケだ。さらに,Bluetoothを使ってネットに接続できるという,ビデオカメラの域をハミ出てしまったDVカメラである。

ネットワーク ハンディカム「DCR-IP7」。レンズはカールツァイス

 が,しかし,MPEG-1というフォーマットは,元々編集のためにあるフォーマットではない。柔軟とは言い難く,オーディオもビデオもくっついてしまっているので,どちらかというといじりにくいフォーマットである。 「じゃあ,編集しなくても済むように撮影時にキチンと撮ればいいじゃん」って? それはプロでも簡単にできるものではないし,MPEG-1撮影できる時間も非常に短い。きっと自分で満足がいくものを作れるところまでは至らないだろう。

 実は,QuickTimeなどを使えばMPEG-1でそのままストリーミング送信/再生することも可能なのだが,今回はストリーミングサーバの心配までしないで済むことを前提にしたい。

 ……ということで,こういったカメラを使う場合でも,取りあえずはDVカメラとして扱ったほうがいいと思う。

3. インターネットビューカム

 ならば,いきなりWindows Mediaのファイル形式で撮影できるシャープの「インターネットビューカム」ではどうか? この選択肢も,「編集しないで配信する」ことを考えたらアリだが,Windows Mediaのファイル形式(ASFなど)もまた,編集のためにあるフォーマットではない。あくまでも配信を重視したフォーマットである。また,さまざまな用途を考えれば,いきなり圧縮してクオリティを落とすのではなく,編集前は高いクオリティで収めておきたいものだ。

 ちなみにこのインターネットビューカム,カメラにバンドルされている動画編集ソフトで編集するためには,いったん巨大なAVIファイルに変換する必要がある。なんだかなー……。

シャープのインターネットビューカム「PoKeVi」。“MPEG-4デジタルレコーダー”を謳う

 さらに,このカメラで言われている「MPEG-4」とは,「MPEG-4圧縮を使ったASFファイル」という意味である。「MPEG-4ファイルフォーマット」とは別物なので勘違いしないように。「インターネットビューカムはASFファイルをサポートしてはいるが,MPEG-4ファイルまではサポートしていない。Windows Media TechnologyはMPEG-4動画圧縮をサポートしてはいるが,MPEG-4ファイルまではサポートしていない」のである。

4. サンヨーのデジカメ群(iDshotなど)

 実は,これが私が考える「ストリーミング映像制作用ベストデバイス」である。理由は,

  1. QuickTimeファイルフォーマットに収めることができる
  2. IEEE 1394,もしくはUSB経由でファイルそのものをマウントできる
という2点である。

 勘違いしないでほしい。これは,「私がQuickTime好きだから」勧めているワケではないのだ。後で編集することを考えた場合,フォーマットの柔軟性,対応アプリケーションの多さなどを考えると,どう考えても圧倒的にQuickTimeが有利なのである。

三洋電機の「iDshot」

 最終的にReal Mediaで流すか,Windows Mediaで流すか,QuickTimeで流すか,そのあたりについてはさまざまな判断があるだろうから,「どれがいい」とは簡単には言えない。が,いずれの場合でもQuickTimeで編集してからそれぞれの形式に変換するのが賢い方法である。

 しかも,iDshotの場合,700Mバイト以上の独自メディアを備えているので,長時間の録画が可能である。

5. そのほかのデジカメ

 そのほか,デジカメにはAVIフォーマット,MPEG-1,QuickTimeの動画などをサポートしているものもある。これらを使うのも結構だろう。

 また,忘れてはならないのは,「ストリーミングでは動画を使わなければならない」わけではないということだ。静止画をまとめてスライドショーを作成し,それに音楽を組み合わせて配信することもできる。いや,むしろ,そういったもののほうが,飽きないコンテンツである場合が多い。こういった場合にもデジカメは強力なデバイスとなり得るのだ。

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