メディアコラボレーション映画,登場

アスキーとAIIが手を組み,インターネットと劇場を使った斬新なコンテンツを作り出した。ミステリー映画「シンクロニシティーフェアリーテイル」だ。制作費はわずか200万円。

【国内記事】 2001年10月18日更新

 IT系出版の老舗であるアスキーとソニー系コンテンツディストリビュータのAIIが,ブロードバンドを舞台にした新しいコンテンツのカタチを作り出した。ネットと劇場で相互に補完するメディアコラボレーション映画「シンクロニシティーフェアリーテイル」だ。

 メディアコラボレーションとは,「ブロードバンドのストリーミング配信でネット版を先行公開し,さらにストーリーを完全なものとして保管する劇場版を追って公開する」(アスキー)というもの。両方を合わせて見て,初めて謎が解ける仕掛けだ。さらに,専用のWebサイトでも情報を出しつつ,メイキングや撮影裏話も見ることができるという。

 謎を解くという点から想像できるように,同映画はミステリー仕立てになっている。ミリタリーマニアの主人公,圭吾の携帯に,ある日一通のチェーンメールが届く。内容はゲームサイトの勧誘。圭吾は興味本位で登録してしまうのが,そのゲームとは,実在の人の写真を使ったカードでゲームをするというものだった。

主人公圭吾役の山口翔吾さん。Vシネマ「ウルトラマンティガ〜古代に蘇る巨人〜」などに出演している

 クラブで遊んでいた圭吾は,カードになっていた人を偶然見つけ,声をかけようとする。しかし,その人は圭吾の目の前で殺されてしまう……。人の命を賭けるカードゲームに一卵性双生児の「シンクロニシティー」,圭吾と同じ名前を持つ不気味な男などが絡み,物語は複雑さを増していく。

 18日に都内のクラブで行われた制作発表会では,監督を務めたアスキーの奥井宏太朗氏が「実験的な要素も多い映画。面白いという人もいれば,“なんじゃこりゃ”という人もいるだろう」と挨拶した。撮影や編集には,東京芸大や早稲田大の学生が協力し,もう1人の監督として第13回東京学生映画祭で準グランプリを獲得した木津俊彦氏(早稲田大学)も参画している。予算は「タイタニックの1000分の1」(奥井氏)という200万円。製作日数もわずか33日間(うち撮影自体は14日間)で,学生とのコラボレーションによる「いわば,スタッフの構造改革」でスピード制作されたという。

「アスキーが映画を作ると株価が落ちると言われたので,低予算にしました」と監督の奥井宏太朗氏。半分本音?

 ネット版の公開は10月20日より。AII提携のCATVインターネットなどを通じて視聴できる。ビットレートは,Real Video形式が1Mbps,256Kbps,64Kbps,Windows Media形式が1Mbs,300Kbps,64Kbpsの各3種類。上映時間は約30分で,料金は500円となっている(1カ月間)。一方の劇場公開版は11月下旬よりシネマメディア―ジュなどで公開予定だ。こちらは約60分で800円。ネット版と劇場公開版のセット券も用意されており,こちらは1000円となっている。チケットの販売はWeb限定で,決済はクレジットカードもしくはWebマネーで行う。

 なお,AIIによると,九州電力や関西電力が進めているFTTHサービスでも配信する計画があるという。この場合は,より高いビットレートのバージョンが用意される予定だ。

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▼ 公式サイト

[芹澤隆徳,ITmedia]

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