コンテンツの売上は予測できる──BIGLOBE

“当たり前のことだが……”と繰り返しながら,コンテンツで儲ける秘訣を明かしたBIGLOBEの竹内氏。長年のプロバイダ事業で培われた同社の経験則とは?

【国内記事】 2001年10月22日更新

 雨後の竹の子のようにコンテンツプロバイダーが誕生する中で,ディストリビューション面の重要な役割を担うのがISPだ。直接ユーザーへの窓口となり,コンテンツを取捨選択する機能も持つ。国内第2位のISPであるNECのBIGLOBEは,ブロードバンド隆盛の時代にどう対応するつもりなのか。NECソリューションズBIGLOBE事業本部パーソナル事業部の竹内寛氏が講演を行った。

 ADSLアクセスサービスの価格破壊により,ISPは大きな方向転換を余儀なくされている。ユーザーは順調に増えている一方で,アクセスサービスそのものがもたらす利益は減少。竹内氏は,この数カ月を振り返り,「もはや接続サービスでは食べていけなくなった」と話す。

 一方,広帯域と常時接続がコンテンツを変えるという認識は業界にも定着しつつあり,竹内氏のもとには「どんなジャンルがブレイクするのか?」といった相談が増えてきたという。こうした質問に対する竹内氏の答えは明快だ。「実は成功例がある」。

 それは,BIGLOBE提携コンテンツの「競馬道 Online」あるいは「宝島城」だ。もちろん,どちらも目新しいものではない。テキストベースであれば,ナローバンドでも一向に不自由しない。しかし,竹内氏は「ブロードバンドといっても,ユーザーは“ブロードバンドコンテンツ”というジャンルを見たいわけではない。ヒットするコンテンツは,サービスの種類や分野ではなく,コンテンツの“魅力”だ」と指摘した。

 同氏が提示したグラフ(下の写真を参考)は,売上と時間を表しているが,ここから2つの傾向が読みとれる。1つは,認知度の向上とともに売上は増えていくこと。もちろん,グラフの立ち上がり方は,当初のプロモーション活動によって変わる。そしてもう1つは,特定ジャンルに特化したコンテンツは,ユーザー数とその嗜好により,いずれ頭打ちになるということだ。これは,リアルビジネスにおける雑誌やサービスと何ら変わりない。

右下のグラフを参照。出典はBIGLOBE

 「雑誌をオンライン化したような場合,実売数とオンラインユーザーの割合から,ある程度売上の予測はつく。当たり前のことだが,必要なのはリアルビジネスと同じ,的確なマーケティング」(竹内氏)。ブロードバンドは,そこに付加価値を与える手段となる。

 「帯域が広がることで,女性のグラビアが静止画から動画に変わったり,あるいはより高画質になったりするというように,同じジャンルであっても表現力をアップすることができる」(竹内氏)。

 例えば,宝島城の場合は,当初800円の月額料金でゲームのダウンロードサービスを始めた。次は女性グラビアを掲載し,今では動画を含む「大人のお宝」コーナーまである(内容にはあえて触れない)。これもよくあるコンテンツだが,ポイントは価格据え置きという点だろう。「価格はそのままで内容を充実させたことにより,コンテンツの魅力が増し,ユーザーと売上が増えた」(竹内氏)。

 最近では,ブロードバンドでなければあり得ない,あるいはブロードバンドでブレイクする特別なコンテンツが存在するかのようにみる向きもあるが,そこに根拠は示されていない。IT系というだけで株価が上がり続けると錯覚していたITバブルと同レベルの希望的観測だ。

 得体の知れない「ブロードバンドコンテンツ」探しに奔走するより,地に足のついたマーケティングが重要という点で,竹内氏の指摘は的を射ている。「ユーザーはブロードバンドコンテンツが欲しくて回線を切り替えているわけではない。サクサク動く環境が欲しいだけだ」(竹内氏)。

 他方で,常時接続と高速化がもたらす恩恵を竹内氏は否定しない。余計な通信費がかからないという点から「オンラインショッピングや教育コンテンツが有望」。また,帯域の拡大は「楽曲ダウンロードを快適にするだろう」。逆に,ウィルスの増加に対する懸念は「メールのウィルスチェックといったセキュリティサービスも必要になる」。いずれも従来からあるサービスだが,ブロードバンドの浸透が普及を後押しするという。

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[芹澤隆徳,ITmedia]

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