無線が光を補完する〜NTT

26GHz帯を使う準ミリ波を高速IPサービスに適用するNTT。そのFWAサービスの具体像が見えてきた。

【国内記事】 2001年11月20日更新

 NTT地域会社が加入者系無線アクセスサービス(FWA)の認可申請を行ったのは記憶に新しいが,実際のサービス形態については情報が少なかった。しかし,NTTアドバンストテクノロジ主催のセミナーで,NTTアクセスサービスシステム研究所(AS研)の佐藤登所長が光ファイバーと無線LANを使った「ハイブリッド技術」によるFWAを紹介。来年度の早い時期(2002年4月以降)に商用化する見通しであることを明らかにした。

 従来,NTTは「競争を促す」という点からFWAの周波数割り当てから除外されていた。しかし,22/26/38GHz帯の準ミリ波/ミリ波帯に関しては,6ブロックの新規割り当て枠が一定の募集期間を過ぎても埋まらなかったため,NTTも認可申請を許されたという経緯がある。いずれにせよ,NTTはこの機会を活かすべく,「光の補完として,(FWAを)地方都市を中心に迅速に展開する」(佐藤氏)方針だ。

 サービスの形態は,ファミリーネットジャパン(6月の記事を参照)などマンションデベロッパー系の事業者が計画しているものとほぼ同じ。ビルの屋上にアンテナと基地局を設置し,周囲の一般家庭に対して無線アクセスを提供す る。

準ミリ波用のオムニアンテナが屋上に設置される

 準ミリ波を使うため,1つの基地局がサービスを提供できる範囲(セル)は半径700メートル程度と広く,また転送レートは30Mbpsほどになる見込みだ。「最終的には60Mbpsになるだろう」(佐藤氏)。ユーザー宅には,25センチ程度の大きさとなるアンテナおよび端末を設置する。

 基地局につながるのはBフレッツのベーシックサービスで,BRAS(BroadbandRemort Access Server)を経由して地域IP網に接続される。佐藤氏がFWAを「Bフレッツの足回り」と表現する通り,NTTの狙いは,光ファイバー網の稼働率を上げ,かつ管路などにかかるコスト負担を分散させることだ。バックボーンを共有する人数が増えれば,それだけサービスの効率化が進み,同社の利益率は向上するだろう。

ノマディックサービスは年度末にも登場?

 このほか,佐藤氏はノマディックワイヤレスアクセス(NWA)サービスについても見通しを語った。NWAは,駅や空港などの公衆エリアに無線LANを導入し,外出時でも家庭やオフィスと同じ環境でインターネットに接続できるというサービス。NTT西日本が10月より「フレッツ・スポットアクセス」の名称で実証実験を行っている(9月27日の記事を参照

 ホットスポットを設けるという点では,モスバーガーやB.L.T.実験と重なる部分もあるが,ISP事業を手掛けることのできないNTTは,ビジネスモデルの構築が難しい。しかし,佐藤氏は「いくつかのビジネス形態が考えられる」として,準備が順調に進んでいることを匂わせた。「今年度末にも正式サービスを行えるのではないか」(同氏)。

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[芹澤隆徳,ITmedia]

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