Interview:“フル画面”動画配信で,日本テレコムは何を目指す?

DVD並みの映像を提供するという日本テレコム期待の動画配信サービス「J-ビジョン」のデモが,「Streaming Media Japan」で行われている。圧縮から配信,再生まで自社技術でまかなうJ-ビジョンについて,プロジェクトリーダーの盛田仁氏に話を聞いた。

【国内記事】 2001年11月20日更新

 11月20日より海浜幕張で開催されている「Streaming Media Japan 2001」の会場では,日本テレコムがストリーミング動画配信サービス「J-ビジョン」のデモを行っている。

 来年1月に試験運用が開始されるJ-ビジョンは,6Mbpsの動画を独自の技術により500Kbpsまで圧縮,同社のCDN網で配信し,再生も独自のビューワをダウンロードして視聴するという,自社技術で完結したサービスだ(8月8日の記事参照)。プロジェクトリーダーの同社コンシューマ事業本部CDNプロジェクト部長,盛田仁氏に話を聞いた。

日本テレコムのコンシューマ事業本部,CDNプロジェクト部長盛田仁氏

ディスプレイの画面いっぱいに動画を表示しても画質を保てるのが自慢。「フルスクリーンで見映えする動画は,なかなかないでしょう」(日本テレコム)

ZDNet 試験サービスでは,どのようなコンテンツが提供されるのでしょう?

盛田氏 今回のデモでは,コンテンツホルダー4社からデモ用にコンテンツを提供してもらい,展示を行っています。しかし試験サービスでも同じコンテンツが提供されるかどうかは分かりません。現在,どのコンテンツプロバイダと提携していくか話を進めている段階です。ただ,サービス開始当初は,映画などのコンテンツを提供することを考えています。

ZDNet 大画面でコンテンツを表示させるという姿勢が目をひきます。フルスクリーンにこだわる理由は?

盛田氏 インターネットで動画配信というと,どうしても“PCによる動画が大好き”といったコアなユーザーに限られてしまいます。しかし,今回のサービスでは,より一般のユーザーにもすそ野を広げようと思いました。ユーザーにはホームシアターのように利用してもらいたいと考えているんです。いまのところ,32インチのディスプレイに表示しても問題のない程度の画質ですが,今後は35インチでもDVDに近い画質を実現できるよう,改良中です。

 将来的には,ゲーム端末やSTB(セットトップボックス)を対象とした映像配信を行い,家庭のTV上でコンテンツを楽しむことができるようにします。

ZDNet 自社内の技術で完結していることのメリットは何でしょう?

盛田氏 1つには柔軟性,ということでしょう。コンテンツプロバイダーの中には,コンテンツの中の「このキャラクターにクローズアップしてくれ」とか,「音楽が命だから音に焦点をあててくれ」とかいった要求を出してくるところがあります。こうしたプラスアルファの工夫を施そうとするとき,全ての工程を自社でまかなっていれば比較的容易に対応することができます。

 もう1点は,よりセキュアだということです。誰にでも開放されているビューワでは,セキュリティの面でもオープンということになりかねません。独自仕様として技術を公開しないことで,ほかよりセキュリティはしっかりさせることができます。

ZDNet 本サービスの料金体系はどのようなものになりますか?

盛田氏 いまのところ,会員限定にするようなことは考えていません。専用のビューワも無料でダウンロードしてもらう方針です。誰にでも開かれたコンテンツにして,初めは入りやすくしたいですね。しかし,無料というわけにもいきませんから,ペイパービューにすることを検討中です(会場の説明員の話では,レンタルビデオなみの価格になるとのことだった)。


 現在,J-ビジョンのサイトでは,モニターの募集を行っている。来年の1月から試験サービスを開始し,4月には本サービスに移行する予定だ。さらに,同社では携帯電話やPDAでの映像配信にも積極的に取り組むという。

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関連リンク
▼ J-ビジョンのサイト

[杉浦正武,ITmedia]

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