ブロードバンド放送では広告は無用?――テレビ業界

ブロードバンドのテレビ番組が実現した場合,地上波のように広告モデルのサービスになるのだろうか? どうやらテレビ業界では,違った考えでいるようで……

【国内記事】 2001年11月22日更新

 テレビ業界はいま,自局の持つコンテンツをブロードバンド時代にどう活かすか,模索している段階だ。TBS,フジテレビ,テレビ朝日の提携も記憶に新しいが,ビジネスモデルの構築は今後の課題となっている。11月22日,幕張メッセで開催中の「STRAEMING MEDIA JAPAN 2001」で,キー局の関係者が集まり,パネルディスカッションを行った。

上段左から日本テレビコンテンツ事業局コンテンツ事業推進部の平松英俊氏,TBSメディア国際室メディア企画部兼国際部兼ブロードバンドプロジェクトの大原通郎氏,フジテレビの経営企画局デジタルソリューション企画室部長の佐藤信彦氏,下段左からテレビ朝日社長室メディア戦略部副部長の福田泉氏,テレビ東京ブロードバンド企画業務部ジェネラルマネージャの渡部豪氏

 ディスカッションでは,テレビ局のコンテンツに対する課金の是非を問う展開に。広告モデルとの比較が話題になった。

 発言を求められたテレビ朝日の福田氏は,慎重に言葉を選びながら「コンテンツ中心で考えれば,広告市場は一定のリミットに近づきつつある」とコメント。今後は広告モデルより,課金モデルのほうに将来性があると考えているようだ。同氏はさらに,「コンテンツそのものの価値を,ユーザーに直接判断してもらう有料課金の仕組みに魅力を感じる」と付け加えた。

 続いてフジテレビの佐藤氏が“メディアのヒエラルキー”という考え方から発言した。「映画を例に挙げれば,まず(作品=コンテンツの)劇場公開があり,それからビデオに流れ,有料テレビで放送され,最後に広告付きの無料テレビに行き着く。テレビはメディアヒエラルキーの下流に位置する」

 同氏によれば,課金モデルにするということは,メディアヒエラルキーの上流を目指すことだという。コンテンツがいったん制作されたら,上流から下流まで押さえて効率よく使いまわす。佐藤氏が「つくりあげたものを,たっぷりしゃぶる」と表現するように,テレビ業界にとって,より大きな市場が拓ける可能性がある。

 テレビ朝日の福田氏も「地上波が本命であることに変わりはない」と断ったうえで,「広告以外のビジネスモデルを模索したい」と明言,課金を支持する姿勢を示した。

 最後に発言を求められた日本テレビの平松氏は,開口一番「有料課金です」と断言。フジテレビの佐藤氏の発言を引用し,「メディアの上流のところでお金をちょうだいすることは,非常に興味があります」と冗談めかして答えた。

コンテンツ売りに進む業界

 ディスカッションを聞く限りでは,前述のTBS,フジテレビ,テレビ朝日の事業でも課金モデルが導入される可能性は高い。また日本テレビにしても,同社が出資するビーバットのサイトで一部のコンテンツを有料販売する体制を整えるなど,課金のシステム作りに積極的だ。さらに,パネルディスカッションでは,テレビ東京ブロードバンドがコンテンツを卸売りする仕組作りを進めていることを紹介した。

 地上波では広告で成功したテレビ業界。しかし,ことインターネットとなると,ネット上の広告モデルが不振なこともあってか,有料化へと傾いているようだ。

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関連リンク
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[杉浦正武,ITmedia]

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