ユーザーの行動を“読む”ホームネットワークシステムがユーザーの意思と行動を認識して動作する。日立製作所の「ユビキタスフォーラム」で近未来のホームネットワークを見た。
「HITACHI」が考える近未来の情報社会とは? 日立製作所は,グループ内の各研究所が取り組んでいるテーマとその成果を披露する「ユビキタスフォーラム」を開催した。既にお馴染みのボタンのないPDA「Waterscape」なども展示されていたが,今回はホームネットワークに焦点を絞って紹介しよう。
ケータイが家の鍵になる日ネットワークで家電を制御する。聞き慣れたフレーズだが,日立の場合は,一歩踏み込んだ使い方を提案している。例えば,1日の始まりである目覚まし時計との連携だ。目覚まし時計が鳴り出すと,TVのスイッチが入り,エアコンが動き出す。あるいは,情報端末が今日のスケジュールを表示する。つまり,「ネットワークを介して機器の動作状況を把握し,システムがユーザーの意思と行動を認識して動作する」(日立)わけだ。
これは,ホームセキュリティにも応用できるという。ドアに施錠したことを関知したシステムは,留守番モードに入る。この時,人感センサーが不正な侵入を検知すると,「TVにスイッチを入れて在宅を装いつつ,携帯電話にメールを送る。監視カメラが宅内の様子を撮影し,メールに添付することもできる」。家の鍵と連動しているため,従来のセキュリティシステムのように「スイッチの入れ忘れ」がないのもメリットだ。 家電を制御するネットワークは, 電灯線を使うECHONET(エコーネット)および無線。対応する機器は,エコーネット・コンソーシアムなどを通じて各社が開発している。 また,会場には,開発中のホームゲートウェイ(基板のみ)が展示されていた。このゲートウェイは,四国電力などと共同実施中の電灯線ネットワーク実証実験にも一部採用されているもの。
インタフェースはエコーネットとイーサネット,そしてPHSだ。イーサネットとPHSは外部へのアクセス回線として利用する。64Kbpsでは遅いと思いがちだが,これはインターネット接続用ではなく,アプリケーションのダウンロード用。「ゲートウェイにはJavaVMも実装されている。Javaのアプレットであれば,64Kbpsでも十分」(日立)。 赤外線で家電を制御こうしたホームネットワークは,まだ実験の域を出ていないが,現状に合った製品も展示されていた。それが,赤外線のインタフェースを搭載した「ユビキタスコントローラ」だ。
コンセプトは,Webで電化製品をコントロールすること。Webサーバを内蔵し,PCやPDAのWebブラウザに管理用画面を表示し,操作できる。ネットワークに対応していなくても,赤外線リモコンの付いた家電ならOKというわけだ。しかし,担当者によると,製品化に向けてはいくつかの課題が残されているという。 「コストと採用するインタフェースが問題だ。プロトタイプにはBluetoothのアンテナも搭載したが,未だ普及しているとは言い難い。また,イーサネットとモデムも両方採用すると価格に跳ね返ってしまう」 ブロードバンド時代に“モデムは要らない”と感じる人も多いだろうが,プライベートな環境を左右する製品だけに,セキュリティ面が問題。「モデムであれば,外部からアクセスする際に電話番号通知などでユーザーを特定できる」 ネットワーク対応家電が出そろうのは,まだまだ先の話。ユビキタスコントローラのような,過渡的な製品の市場も大きいはずだ。日立では,「できれば1万円以下で販売したい」と話していた。 関連記事 関連リンク [芹澤隆徳,ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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