PHSと無線LANの両方に対応する無線端末――NTTが開発

第2世代,第3世代の携帯電話,そして無線LANのすべての無線方式に対応できる小型無線端末が実現する?

【国内記事】 2001年11月26日更新

 NTTは11月26日,PHSと無線LANの両方に対応するソフトウェア無線機を開発したと発表した。これにより,第2世代の移動通信システムから第3世代の移動通信システム,さらに無線LANまで一台でカバーする無線端末が実現する可能性が示されたことになる。

 ソフトウェア無線とは,1台の無線機をソフトウェアの書き換えによって機能を変更し,さまざまな無線方式に対応させる技術。従来のソフトウェア無線技術では,プロセッサが処理できる帯域の制限により,狭帯域を使用するPHSにしか対応できなかった。しかし今回,NTT未来ねっと研究所が新技術を開発し,約20MHzの帯域を使用する無線LANにも機能にも対応することに成功したという。

 新しいソフトウェア無線機は,無線周波数部分以外(中間周波数部とベースバンド部)をプログラマブルプロセッサで構成しているが,中間周波数信号の処理を担当するPPP(プリポストプロセッサ)に,新開発の「フレキシブルレートPPP」を導入したのがポイントだ。フレキシブルレートPPPは,無線方式に合わせて回路を自由に変更できるのが特徴。任意のクロックを生成できるため,1種類のクロックから複雑な補間処理によって各方式のクロックに変換する処理が不要になり,回路の簡易化と高速化が可能になるという。また,ベースバンド部の処理にはPowerPCベースのMPUとDSPを用いた。

“統合された無線端末”の実現に向けて

 開発の背景には,現在国内に第2世代携帯電話と第3世代携帯電話が並存しており,さらに無線LAN,Bluetoothなどが広まりを見せている状況がある。NTTでは,これらの周波数や変復調方式,通信プロトコルが異なる方式に対して,それぞれ専用の端末を用意するのでなく,一台で対応できるようなソフトウェア無線機を開発することが不可欠と判断した。現在開発が進められている第4世代携帯電話では,無線LANなどがシームレスに統合されたネットワークモデルが想定されている(7月19日の記事参照)。

 NTTによると,今後は実用化に向け,プロセッサの低消費電力化と小型化に努めるという。「ソフトウェア無線機を携帯電話並みに小型化・低消費電力化する」(NTT)。

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[杉浦正武,ITmedia]

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