「ファイルローグは法に触れない」 日本MMO社長

国内初のファイル共有ソフト「ファイルローグ」を提供する日本MMO。同社の松田道人社長は「われわれは“場”を提供しているにすぎない」とコメント。一方,ACCSは同社に「より積極的な対応を」と注文を付ける。

【国内記事】 2001年11月29日更新

 著作権法侵害の容疑でファイル交換ソフト「WinMX」のユーザー2人が逮捕された。同じく,ファイル交換ソフト「ファイルローグ」を提供している日本MMOの松田道人社長は,当サイトの取材に対し電子メールで「われわれはユーザーがファイルを交換する場を提供しているにすぎず,仮に送信可能化権侵害にあたるファイルが共有されていた場合には,“ノーティス・アンド・テイクダウン”の手続きに従い,IDや著作物の削除を行うので,法には触れていないと判断している」とコメントした。

 ノーティス・アンド・テイクダウン手続きとは,2000年12月に著作権審議会第1小委員会においてまとめられもので,インターネット上で著作物侵害があった場合に,サービスプロバイダによる簡易迅速な救済を確保する仕組み。

 権利侵害を主張する権利者から「一定の用件を満たした」(同委員会)通知があった場合,サービスプロバイダは当該著作物を削除することになる。なお,日本MMOでは,同手続きに必要な要件を同社サイト上に掲示している

 また,日本MMOでは同社サイトにFAQを掲載。「ファイルローグは合法的ですか?」という項目で,「違法ファイルがなくなるよう最大限の努力をしますが,ファイルローグのコミュニティ内には違法ファイルがない,ということを保証することはできません」と説明している。

 ただ,松田社長が9月28日付けの日経産業新聞で「完全な複製技術は技術革新がもたらした成果。著作権制度も姿を変えるべき」「国外にサーバがある以上,日本の法律の適用外」とコメントしていたこともあり,コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)事業部事業調整課の葛山博志課長は「ファイルローグ自体に違法性はないが,著作権侵害を助長していることは間違いない。多くのファイルを提供しなければ,ファイルを交換できないように設定できるファイルローグのシステムを見れば明らかだ」と強調する。

 さらに葛山氏は,ノーティス・アンド・テイクダウン手続きについても,「送信可能化権を侵害するソフトがやり取りされているのは,運営者は簡単に分かるはず。ソフトウェア業界としては,手続きを待つだけでなく,より積極的な対応を期待したい」と注文を付ける。

 WinMXのケースは,「事業者が誰なのか,ソフトがどこから出てきたのは詳細は確認できなかった」(葛山氏)ため特別な行動は起こさなかったが,ファイルローグの場合,相手が分かっているだけに,ACCSでは日本MMOに協力を要請していく方針だ。

 NapsterからGunutellaへ。そして,WinMXに流れてきたユーザーは,今回の逮捕をきっかけに,ファイルローグへと移動する可能性もある。「まだ,調査するほどの規模ではない」(葛山氏)としているが,今後,ファイルローグで違法ソフトがやり取りされるようだと,ACCSにマークされるかもしれない。

 だが,松田社長は言う。

 「日本MMOにとって,ファイルローグは技術的な実験という位置付け。収益面での事業の柱には,企業向けの“ドキュメントデリバリーソフト”を考えている」。

 なお,明日(11月30日),松田社長のインタビューを掲載する予定だ。

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[中村琢磨,ITmedia]

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