ウィルスの次の標的は「無線LANや携帯端末」――AVERT責任者が警告

Network Associatesのウィルス研究機関「AVERT (Anti-Virus Emergency Response Team)」の責任者Vincent Gullotto氏が,近年ウィルスが増加している背景や今年のウィルス傾向,今後の危険性や対策などを語った。

【国内記事】 2001年11月29日更新

 今年はCodeRedやSirCam,Nimdaなど,強力なウィルスやワームが猛威を振るった。師走の足音が聞こえる今もBadTrans.Bが流行するなど,その勢いは衰えを知らない。

 ネットワークアソシエーツは11月29日,Network Associatesのウィルス研究機関「AVERT (Anti-Virus Emergency Response Team)」の責任者であるVincent Gullotto氏が来日したのにあわせて記者会見を実施。その中でGullotto氏は,近年ウィルスが増加している背景や今年のウィルス傾向,今後の危険性や対策などを語った。


ウィルス増加の背景や今年のウィルス傾向などを語ったAVERTのGullotto氏

 AVERTは世界16カ国に拠点を持つウイルス対策研究センターだ。全世界で約90人の専門研究者が,24時間体制でコンピュータウィルスに関する研究を行っている。

 このAVERTが集計した過去10年間のウィルス発生状況を見ると,1998年頃を境に急激に増加していることが分かる。


AVERTが集計した過去10年間のウィルス発生状況

 Gullotto氏は1998年頃のウィルス増加について「この頃に1人のウィルスライターがウィルス作成キットを作ったことが原因。このキットで,さまざまなウィルスが作られた。最終的に,このキットは1万5000種ものウィルスを作ったことになる」と指摘する。現在でも毎月200以上の新種/亜種ウィルスが見つかっており,日本でも2001年には毎月70〜80もの新しいウィルスが見つかっているという。

 なぜ,近年このようにウィルスが多く発生するようになったのか。

 Gullotto氏はその原因が「テクノロジーの進化にある」と訴える。プログラミング技術の進化によって,これまで専門家しか書けなかったような高度なプログラムが比較的簡単に書けるようになった。つまり「ウィルス作者が簡単にウィルスを作成できるようになった」(Gullotto氏)のだ。

 媒体の進化もウィルスの拡大を助長している。90年代前半のウィルスの中心的な媒体はフロッピーディスクだったため,被害が急激に広がることが少なかった。しかし,インターネットという世界規模の媒体が出現したことで,90年代後半はウィルスの被害があっという間に広がることになってしまった。「テクノロジー自体が,自らの安全性を欠いてしまった」(Gullotto氏)。

 またGullotto氏は,ウィルス拡大の一因に「ダブルクリックシンドローム」があると分析する。つまり,マウスオペレーションによって簡単になったPCの操作性が,ウィルスを蔓延させているというのだ。「メールがきていると,人はどうしてもダブルクリックしたくなる。最近は,プレビューしただけでも感染してしまうこともあるので厄介だ」(Gullotto氏)。

 さて,インターネット網を媒介に急激に拡大したウィルスだが,今後は無線LANが狙われるとGullotto氏は警告する。すでにAVERTでは,無線LAN経由でネットワークにウィルスを侵入させる実験を成功させているという。

 「例えば,企業の駐車場など無線LANの電波が届く場所にノートPCを持ち込むだけで,昼休み中といった短い時間でもハッキングされてしまう恐れがある」(Gullotto氏)。

 また,携帯情報機器がネットワークにつながるようになってきたことによって,iPAQ PocketPCのようなPDAを介してウィルスが広がっていく可能性も指摘。「高性能化が進む携帯情報機器が,今後のウィルス媒介となる。iモードなど携帯電話が発達している日本が,一番危険性が高い」(Gullotto氏)。

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[西坂真人,ITmedia]

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