ソフトバンク,低価格電話サービス「BB Phone」を発表

ビー・ビー・テクノロジーとヤフーは,Yahoo! BBのインフラを活用したVoIP電話サービス「BB Phone」を正式に発表した。12月末にYahoo! BBユーザーを対象とした試験サービスを開始,2002年春を目処に商用サービスへ移行する。国内一律7.5円/3分という低価格が最大の魅力。

【国内記事】 2001年12月18日更新

 かねてよりウワサされていたソフトバンクグループの低価格電話サービス「BB Phone」が正式に発表された。ADSLモデムと電話機の間に独自開発のVoIPゲートウェイ(同社はTA:ターミナル・アダプタと呼ぶ)をつなぐだけで,全国一律3分7.5円という低価格な通話が可能になる。発表会の壇上に立ったソフトバンクの孫正義社長は「ブロードバンドによる電話サービスを,これだけの規模で提供するのは世界初」と胸を張った。


BB Phoneを発表したソフトバンクの孫正義社長

 同社は,12月末にYahoo! BBユーザーを対象とした試験サービスを開始。来春を目処に本サービスに移行する。料金は,Yahoo! BB既存ユーザーの場合で初期費用が3980円,月額基本料金が390円(別途TAのレンタル料が月額140円必要)。Yahoo! BBユーザー以外へのサービス提供は「検討中」だ。

 通話料は,国内および米国向けが一律3分7.5円,その他の地域についても最低水準の価格で提供するという。「世界231ヵ国への通話が可能だ。どの国に関しても,他事業者より安くなる料金を設定する」(孫氏)。さらに,BB Phoneユーザー同士の通話は無料になる。


他社サービスとの比較(クリックで拡大)。「インターネット電話より,NTTやKDDIと比較してほしい」と孫社長

 ただし,サービス開始当初は携帯電話やPHS,フリーダイヤル,緊急番号(110番など)への接続はできない。その場合は,TAが番号を判断してNTT回線へ切り替えるという(タイプ2の場合は不可)。こうした点からも伺えるように,BB Phoneは完全に電話をリプレースするものではなく,あくまでもブロードバンドの“付加サービス”という位置付けになる。

異なるのは音質と使い勝手

 BB Phoneが従来のインターネット電話と異なるのは,その使い勝手。ユーザーは,ADSLモデムとPCの間に専用のTAを設置し,使用中の電話機をつなぐだけでよい。TAにはボタン類も一切なく,通話時,PCを起動する手間やアクセスポイントにダイヤルする時間は必要ない。データ通信と同時に利用することもできる。


宅内の接続イメージ。電話のモジュラーケーブルを分岐してTAとモデムに接続する

 音声はTA内でパケット化され,そのままYahoo! BBのIP網に入る。出口の部分だけNTTの公衆電話網を使う方式で,同社は春までに47都道府県すべてにアクセスポイントを設ける予定だという。インターネットを介さず,またQoS制御を行うことで遅延と音質の低下を防ぐ点が技術的な目玉。

 「従来のインターネット電話では,遠回りをして遅れたパケットがディレイ(遅延)や音質の低下を招いていた。BB Phoneのディレイは20〜30ミリ秒であり,人間の耳には認識できないレベルを実現している」(孫氏)。

 発表会場には100台近いデモ機が置かれ,参加者は自由に使うことができた。実際に試してみると,ダイヤル後に呼び出し音がなるまで若干のタイムラグがあったものの,使い勝手・音質ともに従来の電話と遜色ないレベルを実現していた。


BB Phoneのターミナルアダプタ。単独モデルに加え,2種類のADSLモデム一体型が展示されていた



ADSLモデム一体型はAMBIT Microsystems製(上)と沖電気製(下)の2つ。Yahoo! BBの標準的な付加サービスにしようという意図がうかがえる

ビジネスの健全さをアピール

 Yahoo! BBでの不首尾が批判の的になっただけに,一部ではサービス発表前からその実現性を危ぶむ声も聞かれている。こうした声に対して孫社長は「無理をして赤字のサービスをやる必要はない。Yahoo! BBのインフラに電話サービスを付加して提供するため,追加の設備投資は微々たる金額だ」と反論,ビジネスの健全さを強調する。同氏によると,通話にかかるコストは,3分の通話に換算して4円数十銭から5円程度であり,低価格でも十分に利益を確保できるという。

 「当初から(電話サービスを)意図してYahoo! BBのインフラを敷設しており,投資効率は良い。Yahoo! BBサービスに電話を加えると,ユーザーからは月額3000円程度の料金が入ることになり,利益もユーザー数に比例して大きくなるだろう」(孫氏)。

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▼ ソフトバンク,「電話事業参入の検討は事実」 日経報道で

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[芹澤隆徳,ITmedia]

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