日テレが語る“ブロードバンド戦略”とは

いまやテレビ局も,ブロードバンドを無視してはいられなくなった。ただし,その対応の中心には,やはりテレビがある。両者をうまく連動させる仕組みを,日本テレビに聞いた。

【国内記事】 2002年1月10日更新

 いまや無視できない存在に成長してきたブロードバンドに対し,テレビ局はどのような姿勢で臨むのか。10日に開催されたEC研究会フォーラムでは,日本テレビ放送網のコンテンツ事業局コンテンツ事業推進部,平松英俊氏が同社のブロードバンド戦略について講演を行った。

テレビと連動が「必勝パターン」

 平松氏は講演の中で,日本テレビがホームページ上で,多数のブロードバンドコンテンツをそろえていることを強調した。

 「正月に放映された箱根駅伝では,日本テレビサイト内に“動画ダイジェスト”のコーナーを設け,好評を博した。ほかにも『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』の未公開シーンを有料で放映したり,『3分クッキング』のレシピ・映像を配信したりしている」(同)

 こうしたコンテンツに共通するのは,あくまでテレビ番組と連動していること。平松氏は「テレビのブラウン管そのものが,我々にとって最大最強のトップページだ」と話す。

 「徹底してテレビ番組と連動した,テレビをPRするようなコンテンツを作る。これが我々のサバイバルの道というか,必勝パターンという認識」(同)

 同氏はさらに,“コンテンツ・バリュー・ループ”という考え方を披露した。これはテレビ,インターネット,そして関連商品販売などオフラインでの事業が相互に影響し合い,より効果を上げるという考えだ。

 「パブリック性の高いテレビ放送だが,インターネットでは自分1人だけのもの。コアに愛してもらうことでグッズの人気にも影響するし,地上波にも人気が還元される」(同)

テレビの未公開シーンが有効?

 同氏が具体的に“ヒットしたオンラインコンテンツ”として紹介するのは,「THE!鉄腕!DASH!!」で取り上げた「DASH村」に関するホームページ。同サイトは昨年12月31日まで有料コンテンツとして配信されており,料金は月額470円だった。

 番組は,福島県の某所(場所は秘密にされている)でTOKIOのメンバーらが村づくりに取り組む様子を,撮影するという内容。サイトでは村や村に住む動物の様子を24時間,Webカメラでストリーム配信していたほか,地上波ではカットした場面などもコンパクトに編集して配信していた。

 番組が放送されず伸び悩んだ時期もあったが,徐々にその人気を拡大。年末までには有料会員が「約7000人になった」(平松氏)という。外部からの評価も高く,Yahoo! Internet Guideの「Web of the Year 2001」エンターテイメント部門でも1位を受賞した。

 同氏はこうした成功例から,番組でやむを得ず捨ててしまったコンテンツをオンラインで配信することが有意義ではないかと話す。

 「たとえば,巨人戦でブルペンの様子を固定カメラで撮り,試合中ずっと配信するというのも1つのアイデア。原監督の表情ばかりを配信するのもいいかもしれない。テレビをつけつつ,そのかたわらで楽しめるコンテンツが有効だ」(同)

 ブロードバンド環境で,オリジナルコンテンツを制作するというのも1つの考え方。しかし日本テレビでは,テレビを補完し,相乗効果をもたらすものとしてのコンテンツ制作を志向する。

 もちろん,これはオンラインコンテンツ単独では収益が上がらない,という判断の裏返しでもある。「今はまだ,あまり冒険をせず事業をプラス(黒字)にするよう上から言われているので……」(平松氏)。会場からの質問を受けてついこぼしたセリフからは,ブロードバンドコンテンツが独り立ちできない構図も透けて見えた。

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▼ 日本テレビ

[杉浦正武,ITmedia]

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