Windows Messengerで広がるルータのUPnP対応

Universal Plug and Playはこれまでなかなか対応製品が増えなかったが,ルータだけは別。というのも,Windows XPにバンドルされたWindows Messengerが,UPnPに対応しているからだ。CES2002でも,LinksysやIntelなどが,UPnP対応ルータの展示を行っていた。

【国内記事】 2002年1月10日更新

 様々なデバイスをアドホックに接続可能なIPベースの規格Universal Plug and Playは,これまでなかなか対応製品が増加しなかった。しかし,昨年UPnP対応ルータの仕様が確定すると,こちらはアッという間に対応製品の幅が広がっている。その理由は,Windows XPにバンドルされたWindows Messengerが,UPnPに対応しているからだという。しかし,ルータのUPnP対応が進むほどには,PC以外へエンドデバイスのUPnPが普及する速度は速くなさそうだ。

 UPnPはデバイス同士をネットワークに接続するだけで,IPネットワーク中に存在するデバイスの種類や機能を知り,サーバなしで名前解決やIPアドレスの割り振りなどを行う手順。新規に作られた仕様ではなく,元々存在した手順を集めた仕様セットであり,手順そのものもシンプル。こうしたことから,あらゆるデバイスをIPネットワークへと難しい手順なしに参加させるための仕様として注目されてきた。

 UPnP対応ルータとは,UPnP仕様に昨年追加されたIPシェアリング機能付きルータを介しても,ほとんどのアプリケーションを使用可能にするための手順に対応したルータのことである。

 たとえば,ビデオ会議や音声通話のアプリケーションは,あらかじめ決められたプロトコルがアドレスやポート番号の変更を許容できないため,1個のIPアドレスを複数PCで共有する家庭向けのルータでは,特別な対応策を施さない限り利用することができない。

 これでは広帯域常時接続の環境が整ったとしても,ルータが介在したとたんに利用可能なアプリケーションに制限が発生し,利用の範囲が狭まってしまう。その端的な例がWindows XPの新機能として追加されているWindows Messengerだ。

 Windows Messengerはアプリケーション共有やインターネット電話,テレビ電話などの機能をインスタントメッセージングサービスに統合しているが,一般的なルータではIPシェアリングを行っている環境でそれらの機能に制限が発生する。

 エレコムのルータ「LD-WBBR4」はWindows Messengerのテレビ電話機能をサポートしたが,アプリケーション共有は利用不可能だ。そのほか,メルコもWindows Messenger対応を表明している。しかしながら,ひとつひとつのアプリケーションに個別対応するのはあまり効率が良くない。

 それに対し,UPnP対応ルータとは,UPnPが決めた手順に沿って利用するプロトコルの詳細をアプリケーションとの間で通信に,そのアプリケーションが利用できるようにルータ側での処理を行う機能を持ったルータのことである(ただし,ネットワーク中に2つ以上,同じサービスを利用できないという制限はある)。

 なお,UPnP対応ルータの機能を活かすには,アプリケーション側もUPnPに対応しなければならないが,Windows Messengerはファイル転送機能以外はすべてUPnPに対応している。ソフトウェア側の対応は簡単なため,今後もUPnPに対応するアプリケーションは増加していくだろう。また,Windows XPのインターネット接続共有はUPnP対応機能を備えている。

 現在,米国ラスベガスで開催中の「Consumer Electronics Show2002」では,このUPnPに対応したルータがいくつか稼働していた。

 たとえば低価格ネットワーク機器ベンダーとして知られているLinksysは,新製品の「BEFSR41W」ですでにUPnPに対応しているという。この製品はベストセラーとなった4ポートスイッチ付きルータの「BEFSR41」に細かいマイナーチェンジを施し,さらに無線LANカードのスロットを追加したもの。カードを追加することで,簡単に無線アクセスポイントの機能を追加できる。


Linksysの「BEFSR41W」。背面に無線LANカードスロットがある

 BEFSR41Wで先行対応したUPnPだが,同社は現在,従来機へのUPnP対応準備を進めている。現在,BEFSR11,41,U31対応のバージョン1.41ファームウェアをベータテスト中だが,この中にUPnP対応が含まれている。順次,他の製品にもUPnP対応を進めていく予定だ。

 またIntelは家庭向けのUPnP対応ルータをソニーのUPnP対応ストレージとともに展示していた。発売は未定で,ソニー製UPnP対応ストレージとともに撮影も行うことができなかった。

 ソニー製UPnP対応ストレージは,ネットワークに接続するだけで,他機器からユニバーサルなストレージデバイスとして利用可能なもの。まだ試作機の段階を出ておらず,ファイル名の取得や転送などが行えるだけだったが,試みとしてはなかなかおもしろい。

 ただし,開発にはまだいくつかの問題が残っているという。最も大きな問題は,UPnPがデバイス間の接続を可能にするプロトコルであり,接続を確立するのは容易ながら,実際にそのデバイスの機能を利用するところでは,別途アプリケーションレベルでの手順を決めなければならないことだという。万能型のストレージデバイスを扱うための標準プロトコルは,UPnPの担当範囲外であるため,そうしたアプリケーションレベルでの標準化が今後の課題と話す。

 Windows Messengerの登場でにわかに注目を浴びているUPnPだが,UPnP対応家電の数は依然少ない。ルータの対応は進んでも,本来の目的であるあらゆるデバイスのIPネットワークへの参加というテーマを達成できるのは,まだまだ先のことになりそうだ。

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[本田雅一,ITmedia]

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