TBS,フジ,テレ朝の民放3社がコンテンツ配信で企画会社設立

東京放送,フジテレビジョン,全国朝日放送の3社は,有料コンテンツ配信を目指して企画会社「トレソーラ」を立ち上げる。放送局がブロードバンド市場に本格参入するものとして注目されるが,動機はむしろ「放送と通信の融合」論に対する反発のようだ。

【国内記事】 2002年1月18日更新

 東京放送(TBS),フジテレビジョン,全国朝日放送(テレビ朝日)の民放3社は1月18日,ブロードバンド向けのコンテンツ配信サービスを検討する企画会社「トレソーラ」を1月中にも発足すると発表した。インターネットの持つオンデマンド性と双方向性を活かし,有料サービスを提供するのが目的だ。事業会社化は夏頃を予定している。


左からフジテレビの飯島一暢氏,TBSの飴井保雄常務,トレソーラの原田俊明社長,テレビ朝日の神村謙二常務

 トレソーラの社長に就任したTBSの原田俊明BS会議事務局長によると,3社は昨年6月に準備会を発足したが,「ブロードバンド市場に対する見方と取り組みの違いを吸収するために時間をかけた」という。今後,また半年間をかけ,トレソーラはマーケティングとビジネスの方法を探る。同時に,著作権管理技術確立のために実証実験などを行う予定だ。

 トレソーラには松下電器産業,NEC,日立製作所といった機器ベンダーや電通,博報堂などの広告代理店も資本参加しており,まずは制作から配信,そして受信に至る要素をそろえた形。また,NTTグループも資本参加したことで,フレッツシリーズ向けに特化したサービスを行うとする報道もあったが,「われわれは,特定のキャリアを意識したわけではない。(配信の)ルートは今後の話合いになるが,あらゆる場所にコンテンツを提供するだろう」(TBSの飴井保雄常務)としている。

 また,NTTの宮津純一郎社長は,16日に行われた社長会見で民放3社との提携にふれ,「NTTグループは,ネットワークに必要なシステム作りを引き受ける立場」と述べた。

 現状で決まっているのは,トレソーラが“コンテンツアグリゲータ”(昨年12月のコラムを参照)として機能すること。関連するコンテンツホルダー各社から集めたコンテンツを,卸売り・直接配信を問わず「全方位的に」提供するという。もちろん,「セキュリティとクオリティを確保できるところから」(飴井氏)。回線もADSL,FTTH,CATVすべてが対象だ。

放送と通信の融合?

 放送局がインターネット市場に本格参入するものとして注目されるトレソーラだが,設立の動機はむしろ「放送と通信の融合論」に対するアンチテーゼのようだ。

 TBSの飴井常務は,ブロードバンドを「新しいメディアの1つ」と評価しながらも,「放送はマスメディアであり,広告収入によって無料で提供する。そして有料サービスとしてパーソナルなニーズを汲むのがブロードバンドだ」と切り分ける考えを示した。「ブロードバンドが出てきても放送の役割は変わらない」(同氏)。

 同日,民放連は総務省に対して意見書を提出した。テレビ朝日の神村謙二常務によると,その内容は「政府のIT戦略会議は,放送の役割に対して理解がない」ことに警鐘を鳴らすものだという。メディアのメインストリームとして,放送の立場は不動のもの,という姿勢が垣間見える。

 では,放送事業のなかでオンライン配信はどう位置付けられるのだろうか。神村氏は,ブロードバンドを「トリガー」と表現した。「放送広告やECに影響を与える触媒としての役割を期待している」(同氏)。まだまだ本業(=放送)のプロモーション的な性格が強いようだ。

関連リンク
▼ 東京放送(TBS)
▼ フジテレビジョン
▼ テレビ朝日

[芹澤隆徳,ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


モバイルショップ

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!