誉めて誉めて誉めまくるで〜 ――吉本興業が放つ世直し最終兵器とは!?

登場するやいなや「あんた,ええ服着とるねぇ」「あんた,キムタクそっくりや」「カメラの構え方からして違うわ〜」と,まぁ誉めること誉めること。暗い事件が多く悲観的なムード漂う日本を明るくすべく吉本興業が放つのは!?

【国内記事】 2002年1月30日更新

 終わらない不況,リストラ,後味の悪い事件,紛糾する国会……。こんな世の中を明るくすべく,吉本興業が立ち上がった。コードネームは「日本全国誉めたろう侍漫遊記」,ミッションを遂行するのは,吉本興業の誉めさせたらとまらない「今いくよくるよ」の2人だ。

 2人は全国津々浦々の自治体,観光地,企業を訪ね,行政の長を,社長を,社員を,商品を誉めまくる。仕掛け人の吉本興業 木村政雄常務は「今の日本にはびこっている批判文化を否定して,ネガティブにならず前向きに行こう。いいところを誉められれば人はやはり気分がよくなる。誉めることで新しい文化を築くのは正しいことだと信じている」と世直し論をぶちあげた。


登場するやいなや「誉め攻撃」を始めた,今いくよくるよのお二人

 それにしても,壇上の2人の誉めること誉めること……。記者会見に参加した記者を見ては「あんた,そのフード,素敵やなぁ」,カメラクルーには「ハリー・ポッターそっくりやん」,キャスターには「その白魚のような指! 服も素敵やけどバッグがまたええなぁ!」と,会見の間も誉め言葉が止まらない。これだけ誉められれば「日本も明るくなるのでは」と楽観的な気分になろうというものだ。

誉めてもらうにはどうすればいい?

 誉めるといっても,吉本興業のこと,タダで誉めるわけではない。きちんとビジネスモデルが作られている。「CMで誉めたい」「番組で誉めたい」「とことん誉めたい」の3つのコースが用意され,番組 (30分,350万円) は制作費を含んでいるが,CMは制作費別途。とことん誉めたいは,CMもしくは番組プラスアルファで,価格は応相談となる。ちなみにウソかホントか,木村常務によれば,今いくよくるよ氏のギャラは3万5000円。「もうすぐ年金もでることだし」(木村常務) と,笑いを誘った。


笑いを交えながらビジネスモデルを語る木村常務

 CMや番組は同社のWebサイト「ファンダンゴ」内に開設されるコーナーでPRされるほか,テレビ,ラジオ,新聞,雑誌でPRしていくという。番組についてはスカイパーフェクTV 284チャンネルの「ヨシモトファンダンゴTV」で4回放映される。放映は「春先にはスタートする予定」 (博報堂)

 誉めてもらいたい企業,個人は「誉めたろう侍事務局」(TEL:03-5730-3109 平日10時から18時まで受け付け) にまず応募する。吉本興業が「誉める基準」とするのは「皆が認めるよい技術,よい商品,よいサービス,そのニュースが日本全国を元気にするもの」。応募多数の場合は相対評価で判断する場合もあるという。


このハデハデなコスチュームで全国各地を行脚する。腰の鯛の絵がなんとも縁起がいい

 この企画は吉本興業と博報堂による共同企画で,年間5億円の売り上げを事業目標としている。

今,話題の人を試しに誉めてもらった

 それでは試しにと,国会紛糾で窮地に立っている小泉首相を誉めてもらった。「息子もええ男やし,あんなに線が細いのに,ほんまによう頑張ってる。肩をもみにいってあげたい」。

 次は更迭された田中真紀子氏だ。「弁も立つし,あのブルドーザーのような勢いはすごいわ。もっと国会に風穴を開けてほしかったんやけど,あれだけのパワーがあれば,いずれまた大臣になるんちゃう? 3人でトリオ組みたいぐらいパワフルやね」。衆院議院運営委員長を辞任した鈴木宗男氏も誉める。「うちの (吉本興業) 坂田利夫に似た愛嬌のある顔や。いろんなことがあってせっかくのいい人相がもったいない。もっと日本全体のことを考えてくれれば人気でるんちゃうかなぁ」。

誉める――それは相手の個性を認めること

 今回の企画について木村常務は「日本人の根底には嫉妬心の文化があり,足のひっぱりあいや,伸びようとするものを叩くことがままある。吉本興業は一般の人からは浮いた存在の集まりだが,互いの個性を認めながらやっていくことで人気を集める芸人が育っている。一般社会でも,自分と違う存在を認め,賞賛することで,もっと元気で明るい社会になるのではないか」と,その意図を語った。

 会見の最後には「マスコミのみなさんにお願いしたいこと」として「反『批判』=『賞賛』文化構築にご協力下さい」「『誉めたろう侍』の情報を発信してください」「日本を明るく,元気にしましょう」という案内があった。とりあえず,お上をあてにするのではなく,身近なところから誉めを広げて,日本を明るくしていこうということのようだ。

余談:今いくよくるよ氏が「誉めたるからこっちこんかい!」と来場した記者を煽ったが,みんな一斉に引いてしまった。多くの日本人は誉められることに慣れていないのかもしれない。かくいう私もひいてしまった一人。なんか照れくさいのだ,誉められるのって。

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[森山雨音,ITmedia]

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