イー・アクセスのIP電話サービス,その詳細をチェック――音質は良好

イーアクセスのWindows Messengerを利用したIP電話サービス。デモによる実際の音質も含めて,サービスを詳しく見てみよう。

【国内記事】 2002年2月4日更新

 以前から告知されていたイー・アクセスのPC to Phoneサービスの,全体像が見えてきた。同社は2月4日,サイト上で料金体系を発表し,延期されているサービスの開始時期についても「2月12日の週になる」(イー・アクセス広報)とコメント(記事参照)。サービス内容も解説してくれた。

 同社のPC to Phoneサービスは,Windows XPなどに搭載されているコミュニケーションツール「Windows Messenger」から加入者電話に電話をかけられるというもの。利用にあたっては別途,USBフォンやヘッドセットを用意する必要がある。

 Windows Messengerではテレビ電話サービスも提供されているが,こちらはPC同士のもの。本サービスはイー・アクセスのネットワークを経由して,PSTN(公衆回線網)経由でPCと加入者電話との通話を実現する。


システム構成。マイクロソフトの「パスポートシステム」を利用し,ユーザー認証を行う。マイクロソフトは別途,制御信号の管理も行っている

 ユーザーのVoIPパケットはイー・アクセスのADSL網,またはオープンなインターネットから同社のネットワークに入り,そこから電話会社の交換機を経てPSTNに伝送される。このとき,イー・アクセスの通信網を利用するプロバイダでサービスを利用すると,経路を短縮し,足回りの混雑を避けることができる。

 同種のサービスは,国外では昨年10月末から開始されている。現在,米Microsoftは世界5社と提携してこの事業を進めており,そのうちの1社がイー・アクセスというわけだ。国内では今のところ,イー・アクセス以外に提携している業者はなく,当面は独占的に提供することになる。

 「1つのアプリケーションで,文字チャットから加入者電話への通話までこなせる。これは他社のIP電話サービスとの差別化要因になる」(イー・アクセス広報)

実際に音質を確認

 実際に,ユーザーが利用するのと同じネットワーク環境でサービスを試してみた。操作は直感的で,テンキーで番号を押して「Enter」キーで電話をかける(マウス操作も可能)。


Windows Messengerの「操作」から電話をかける

相手が番号を登録してくれると,簡単にかけることができるようになっている

 音質はかなりクリア。個人的には,通常の電話より良いとさえ感じられた。IP電話というとディレイ(遅延)が発生したり,ノイズが乗ってしまったり,エコーがかかったりといった問題が生じるケースもあるが,そうした点は特に見当たらない。

 VoIPパケットは非圧縮で,64Kbpsを割り当てている。これにヘッダなどが追加されて,「80〜90Kbpsの帯域を使用する」(イー・アクセス)という。同社はネットワーク上で「信号送信用の回線と,音声データ送信用の回線を物理的に分けて用意している」として,音声品質の高さに自信を見せた。

 ただし,いくらネットワーク技術が優れていても,サービスエンドのスピーカーの段階で音質が悪くなることもあるので注意が必要だ。イー・アクセス広報は「音質を求めるならやはりUSBフォンタイプがいいのではないか」と薦めていた。

改善点は?

 課題としては,携帯電話やPHSにかけることができない点が挙げられる。これは各社のIP電話サービスに共通する問題なのだが,携帯電話のキャリアが現在設定しているアクセスチャージ(接続料)では,VoIP事業者側にコストがかかりすぎてしまう。このため,どこの事業者も,携帯電話との接続には二の足を踏んでいるのが実情だ。

 イー・アクセスにしても「技術的には何の問題もないのだが……」と不満げ。「携帯電話のキャリアの場合,NTTのようにアクセスチャージがオープンに定められていない。個別交渉になるが,実際の接続は来年度以降になりそうだ」。

 ほかに,IP電話特有の“グローバルIPアドレスの問題”もある。IP電話の利用にはグローバルIPアドレスが必要になるため,たとえばルータを介すととたんに通話が不可能になってしまうのだ(特集参照)。

 イー・アクセス広報はこれに対処すべく,ルータは「ブリッジモード」を用意して簡単に切り換えられるものを選択するように薦めている。「この問題はマイクロソフト側も問題視している。将来的には解決するための技術も開発される可能性がある」(イー・アクセス)という。

 VoIPは今後の市場の広がりを見込んで,参入する各通信事業者が相次ぐ事業。イー・アクセスでも「すぐにサービスがブレイクするとは思わないが,総務省の番号割り当てなどが進めば,2,3年後には状況が変わるはず」として,積極的に取り組む姿勢を見せている。

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関連リンク
▼ イー・アクセスのインターネット電話のページ
▼ マイクロソフトの.net Passportホームページ

[杉浦正武,ITmedia]

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