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iVASTの戦略に思うMPEG-4の「ここがミソ」

今回は「ストリーミングだけを見ていると,MPEG-4を見失う」というお話。MPEG-4が抱える数々の問題を解消する,米iVASTのソリューションとは?

【国内記事】 2002年2月6日更新

 先日,iVASTのワールドワイド・セールス&ビジネス・デベロップメント担当副社長,Ben Silva氏が来日し,同社のMPEG-4戦略について語った。その場で改めてMPEG-4の利点について認識させられた。今回は「ストリーミングだけを見ていると,MPEG-4を見失う」というお話である。

MPEG-4が注目される3つの理由

 ストリーミング系の業界で今年注目されるトピックの1つに,間違いなくMPEG-4がある。普及するしないは別として,すでに注目を集めているといってもいいだろう。なぜ注目されるかというと,

  • 1.ISOが定める標準フォーマットであるから
  • 2.ひとつのファイルの中でインタラクティブな仕組を持たせることができるから
  • 3.ストリーミングだけでなく,DVDなどにも活用できる,スケーラビリティに富んだメディアであるから

といったところである。

 という話を聞くと,誰でも「次はこれだ!」と思うわけだが,上記の3つをすべてサポートした技術というのが,なかなか登場していないというのが実情なのである。例えば,

  • 1.MicrosoftのWMTで使われているのはMPEG-4のコーデックだけで,ファイルフォーマットはマイクロソフト独自のものである
  • 2.PhilipsのプレイヤーWebcine PlayerはMPEG-4準拠だが,インタラクティブな面まではサポートしていない
  • 3.すべてのメディアを丸ごとサポートしてくれるようなオーサリング環境,サーバ環境がない

といった具合である。

すべてを解決する? iVASTのEnd-to-Endソリューション

 これらをすべて解決してくれるツール,ソリューションの登場が待たれていたわけだが,実は,それらを丸ごと解決しようとしている会社がある。米iVASTである。そのiVASTのBen Silva氏が来日,同社の製品,戦略についての発表会を行った。以下,非常に簡単に説明すると……

 同社は「End-to-Endソリューション」と称して,MPEG-4エンコーダ,MPEG-4コンテンツのオーサリングツール,サーバ,プレイヤーと全てを提供する会社である。オーサリングについては米Tribeworksと提携し,現在,「iShell」をベースとしたオーサリングツールを開発中だという。

 同社は今後,MPEGを中心とした市場が500億ドル産業になると見込んでいる。そのMPEG-4の動画クオリティについては,750KbpsというビットレートでDVDレベルの画質を得られるとしており,このビットレートでいけば,DVDで13時間強,CD-ROMでも2時間のコンテンツを収めることができることになる。「低ビットレートで高画質」というのは,何もネットワークに有利だということだけではない,というのがポイントである。

 同社はビジネスとして,サーバ,オーサリングツール,エンコーダを販売するといったことだけでなく,サービスプロバイダーへのソリューション販売,チップへのプレイヤーの埋め込みといったことを想定しており,すでにSigma Designsなどのチップにプレイヤーを埋め込むデモなども披露している。

 また,同社のシステムでは,3Dのオブジェクトを生成/再生することが可能となっている。この3Dについては,もともとMPEG-4の仕様に則ったものだが,今のところ,他の会社でこの3Dのレベルまでサポートしたツールは出ていない。

「スケーラブル」とはどういうことか?

 さて,このiVASTの動きの中で私が注目したいのは,「プレイヤーをチップに埋め込む」ということである。これは当然,PCを前提とした話ではない。ターゲットはいわゆるセットトップボックスである。

 そして,セットトップボックスというものは,必ずしもインターネット経由で扱うためのデバイスとは限らない。単に衛星放送でデータを流すということもあるだろうし,データ放送のデータ部分でストリーミングさせるということもあるだろう。また,ホテルなどでオンデマンドのムービーを再生することにも利用できる。

 要するに,iVASTはストリーミングという技術にフォーカスしているのではなく,PCにフォーカスしているわけでもない。メディア配信全般のことを考えており,「一番スケーラブルで互換性の高いメディアを選択したところ,MPEG-4となった」というだけなのだ。

 同社の予想する普及率においても,企業向けのブロードバンド市場は80%前後で推移するのに対し,コンシューマー市場は2005年でも30%程度である。その時点でコンシューマー市場ではDVDが主力となり,80%程度の普及率となることを予想している。

果たしてプレイヤー間の互換性は?

 同社のシステムを使って配信されるインタラクティブなMPEG-4ファイルのことを,Silva氏は「True MPEG」と呼んでいた。おそらくはMPEG-4の動画コーデックだけを使ったほかのフォーマットを意識しての発言だと思うが,同社のTrue MPEGには3Dのレイヤーも含まれる。これは今のところ,どこの会社でも使われていない。

 さらに,同じTrueMPEGでも,Philipsのプレイヤーは,インタラクティブな要素をいっさいサポートしていない。このあたりをどう解決していくのか……。Silva氏は,「ない要素が再生されないだけで,互換性はある」と語っていたが,まだまだ検証が続けられなければならないだろう。

 そこで互換性が保たれれば,これはユーザーにとってはかなり明るい話題である。どんなプレイヤーを使っても再生できることになるのだ。

 一方で,今度はMPEG-4のコンテンツ制作/再生などのツールやソリューションを提供する会社は,どうやって差別化していけばよいのか? という問題がある。これは「標準であるが故の悩み」である。

 その点,iVASTの解答はクリアだ。

「MPEG-4のあらゆるレイヤーを,あらゆるケースを想定してきちんとサポートしているということが重要なのだ」ということである。ストリーミングが流行らなくても,MPEG-4は生き残る。ストリーミングしなくても,DVDでMPEG-4がサポートされればよい。

 重要なのはストリーミングにフォーカスすることではなく,メディアにフォーカスしているというところなのだ。そしてPCにフォーカスしていない。ここがポイントである。

 では,PC側を中心に攻めている人達はどうなるのか? それを調べに来週,アップルコンピュータのイベント,「QuickTime Live ! 」を取材してくる予定である。

関連リンク
▼ iVAST

[姉歯康,ITmedia]

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