「IP電話の技術は当然,開発している」――NTT東,古賀氏

一部の報道で,フレッツサービスを利用したIP電話事業が取りざたされたNTTグループ。IP.netで講演を行ったNTT東日本取締役,古賀哲夫氏に,この件について質問した。

【国内記事】 2002年2月28日更新

 先日,一部メディアが「NTTグループがIP電話事業に参入」と大々的に報じた。しかしNTT側に問い合わせてみても,「具体的な話はまだない」と言葉少な。実際のところはどうなのだろうか?

 28日,「IP.net JAPAN 2002」会場で講演を行ったNTT東日本の古賀哲夫取締役に,この件について直接話を聞いてみた。


壇上の古賀取締役。「報道では3分7円台などと具体的な数字が出ていたが,私自身どこから出たのか分からない」と首をかしげた

 古賀氏はまず,「IP電話が可能になるような技術は,当然開発している。ただし,実際にサービスをやるかどうかは,現段階では分からない」と基本姿勢を説明。

 「サービスを実際に提供するかどうかについては,まだ時間をかけて検討しなければならない。総務省のIP電話端末に対する番号割り当て(1月7日の記事参照)の方向性も見定める必要がある」(同)。

 もっとも,IP電話が“意義あるもの”との認識でいることは確かだ。同氏によれば,IP電話サービスは市内通話には意味がないが,県間などの遠距離通話に有効だという。

 「日本の電話料金は下がったというが,これはあくまで市内の通話料金についての話。長距離の通話料に関しては,IP電話の果たす役割は大きい」(同)。

今後の事業化は規定路線?

 古賀氏は「大きな流れからいって,今後(通信事業者が)IP電話抜きで進むことはない」と断じる。しかしその一方で「IP電話一色になることも,これまたない」と言う。

 「IT戦略会議では,2005年までにブロードバンドユーザーは4000万世帯になるとしているが,日本の世帯数自体が4千数百万。これはありえないと思っている」(同)。完全にIP電話化されるのではなく,従来の回線交換式の電話システムとの共存が(少なくともしばらくの間)続く,との予測だ。

 同氏はまた,従来の電話設備が不良資産化するとの見方も「それはあたらない」と否定した。

 「ここ数年,従来の(回線交換方式による)電話に対する投資はしていない。これからIPにシフトしていくにつれ,交換機を償却していくだろう。これでコストが下がれば,通常の通話料も下がることになる」(同)。IP電話化により,むしろ事業者側にコストメリットが生まれるというわけだ。

 ともあれNTTグループが“水面下”の部分ではIP電話事業に積極的なことは確かなようだ。同技術の開発を「確実,当然」と繰り返した古賀氏の口ぶりには,今後の事業化が規定路線であることが見てとれた。

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[杉浦正武,ITmedia]

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