平成電電のADSL,最大8Mbpsで月額1200円

平成電電は,最大8MbpsのADSL接続サービスを今夏より提供する。ホールセールが中心で,ISP料金を含めると月額2000円前後になる見込みだ。

【国内記事】 2002年4月10日更新

 平成電電は4月10日,最大8MbpsのADSL接続サービスを今夏より提供すると発表した。接続料金は月額1200円。ISPに対するホールセールが中心で,ISP料金を含めると月額2000円前後になる見込みだ。


平成電電の井田高次社長

 同社は,5月にもADSL事業を手がける新会社を設立し,翌6月からは一部地域を対象に実証実験を開始する。既に,全国500あまりのNTT収容局を対象にコロケーション申請を行っており,8月には「可能なら全国一斉,最低でも東名阪と福岡でサービスを開始したい」(同社の井田高次社長)という。

 ADSLの仕様は,アッカ・ネットワークスやイー・アクセスと同じG.dmt Annex C。グローバルIPアドレスを動的に割り当てる計画だが,法人ユーザーに向けて固定IPアドレスのメニューも用意するという。なお,ADSLモデムは売り切りとなる。

 平成電電では,既に複数のISPとホールセールの交渉を始めているが,少なくとも同社が運営するISP事業「トライネット」では,ISP料金込みで総額2000円前後に設定する予定だ。ただし,同じく同社が運営する無料ISP「FREECOM」への回線提供については,「検討中」として井田氏は即答を避けた。

 無料ISPの「FREECOM」であれば,回線接続料の1200円だけでADSLサービスを提供することができる。平成電電にとって,これはユーザー獲得に向けた大きな武器になるだろう。しかしその一方で,パートナーのISPを刺激する可能性もあるだけに,判断が難しいのだろう。

電話中継サービスとの相乗効果

 平成電電が,最後発としてADSL事業に参入する背景には,主力事業である中継電話サービスがある。

 マイラインに参戦し,企業を中心に約2万のユーザーを獲得した同社は,4月中をめどに全国47都道府県にサービスを拡大する予定だ。同社の代理店名簿には,500社あまりが名を連ねているが,「例えば,ゲームセンターチェーンの各店をADSLでつないでネットワークゲームを提供したり,チェーン各店に監視Webカメラを置き,1カ所で集中管理することなどが可能になる」(同氏)。つまり,法人顧客向けネットワークソリューションのツールとして,ADSLを活用するのが狙いのようだ。

 また,個々の代理店が持つ法人顧客の紹介,モデムの販売,そしてサポートなど,代理店のビジネス範囲を拡大することにもつながるという。「ADSL参入については,(電話の)代理店からの要望が大きかった」(井田氏)。

 一方,平成電電としては,ADSLと中継電話事業がバックボーンを共有し,コストメリットが生まれる。さらに,DSLAMの設置を足がかりとして,現在はZC接続(1県に1カ所の中継交換局で接続)にとどまっているNTT網との接続を,アクセスチャージの安いGC局(加入電話の回線を集線するNTT収容局,エリアごとにある)レベルに拡大。将来の電話料金値下げにつなげたいという思惑もある。

「ADSL事業参入に続き,固定電話から携帯電話への通話料金割引サービスを計画している。直収線ユーザー(専用線を企業のビルまで引き込むサービス)を対象として,3分60円程度に設定できるだろう」(井田氏)。

値下げ競争の火種に?

 月額1200円という料金設定は,結果として,以前報道された「月額1000円」に200円ほど上乗せした数字になった。もっとも,井田社長は「1000円でも可能だ。しかし,将来の値下げ余地を残しておきたい」と話している。

 わずか十数億円の追加投資で500のNTT収容局をカバーするという同社に対しては,コスト構造や採算性を疑問視する声もある。しかし,少なくとも今回の発表は,他のDSL事業者やISP各社に衝撃を与えずにはおかない。

「初年度は14万回線,シェアにして3%の獲得を目標にしている。2003年度は10%を目指す」(井田氏)。

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[芹澤隆徳,ITmedia]

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