ニフティ，ホットスポット接続に意欲

ニフティは，2002年度の事業方針にホットスポット経由の接続サービスを盛り込んだ。月額数百円程度の安価なオプションとしたい考えだ。

【国内記事】

2002年4月24日更新

　ISPの「@nifty」を運営するニフティは，2002年度の事業方針にホットスポットの接続サービスを盛り込んだ。既に首都圏や関西でホットスポットを展開している複数の事業者と交渉を進めており，年内にもISPサービスのオプションとして提供する見込みだ。

好調さを強調するニフティの渡辺武経社長

　4月24日に事業戦略説明会を開催したニフティ。挨拶に立った同社の渡辺武経社長はまず，ブロードバンド加入者とコンテンツの売上が順調に伸びていることを挙げ，事業の好調さを強調した。企業業績も売上高が639億円となり，13年連続の黒字を記録している。

　「2002年度はバックボーンの大容量化やホットスポット対応といったインフラ面の拡張に加え，ビデオチャットや個人向けのストリーミングサービス，@payの機能拡張などで売上高700億円を目指す」（同氏）。

　一方，昨年末に話題となったソニーによるニフティの買収交渉に関しては，「（株主同士の話であり）私は答える立場にない」という回答を繰り返した。

2〜3月にブロードバンド会員が急増

　ブロードバンドサービスでは，8Mbps ADSLに対応したのが昨年11月と「他社に遅れをとった」（渡辺氏）。しかし，2002年2〜3月にはコロケーション問題の解決が後押しする形でユーザーは急増。現在は，518万人の@nifty会員のうち，CATVやADSLを利用する「ブロードバンド会員」が28万人を数えるという。

CATVやADSLを利用するブロードバンド会員は28万人に

　2002年度は，各回線事業者との接続回線を中心にバックボーンの大容量化を進め，その総容量は100Gbpsにおよぶ見通し。従来のATM網を使ったバックボーン構成を見直し，今後はダークファイバーを中心に拡充を図る計画だ。ただし，光ファイバー芯線貸し料金が下がっているため，「（バックボーンをニフティに提供する）富士通の設備投資は，昨年度よりも少ないはず」（ニフティ・システム統括部長の下浦敏治常務）という。

問題はサポートとユーザー認証

　このバックボーンは，ホットスポット事業を展開している通信事業者とも繋がることになる。

　ホットスポットは，4月に商用サービスを開始したモバイルインターネットサービス（MIS）を筆頭に，「HI-FIBE」のNTTコミュニケーションズ，NTT東西地域会社，NTTドコモ，日本テレコムなどが提供あるいは計画している。ニフティは，これらの事業者のうち，独自システム色が強いために接続が困難と判断されたMISを除き，ほとんどの事業者と継続的に交渉を進めているという。ホットスポットでのインターネット接続を@niftyのオプションとして追加するのが同社の計画だ。

　ただし，下浦氏によると，運用やサポートの面で，いくつかのクリアしなければならない課題が出てきているという。まず，有料課金にはユーザー認証が欠かせないが，ニフティの認証が加わることでユーザーに煩雑な手順を強いる可能性がある。また，ニフティ経由でホットスポットサービスに加入したユーザーの場合，サポートはいずれの事業者が担当するのか。さらには，料金設定とレベニューシェアの方法などといったことだ。

　「技術的な課題は比較的容易にクリアできるが，サポートや料金設定の問題は厄介だ。金額面をみても，（ホットスポットサービスの相場といわれる）月額2000円前後の料金を，そのままISP料金に上乗せすることは金額的に難しいだろう」（同氏）。

　オプション料金は，できれば数百円に設定したいという下浦氏。だが，こればかりはニフティだけで決めることはできない。

　ニフティのような大手ISPの参画は，ホットスポットの普及に大きな弾みをつけるだろう。しかし，そのために回線事業者側は，思い切ったコストダウンを求められる可能性がある。

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@nifty

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