ニュース	2002年5月29日　01:45 AM 更新

ファイル交換ソフトの利用者は減少傾向に ACCSらが調査

ACCSとレコ協が、ファイル交換ソフト利用者の実態調査の報告書をまとめた。ファイル交換ソフトを現在利用しているのはインターネットユーザーの3％程度で、その数は減少傾向にあるという

　ファイル交換ソフトの利用者はインターネットユーザーの3％。利用者数は減少傾向に――。コンピュータソフトウェア著作権協会（ACCS）と日本レコード協会（RIAJ）が5月29日に公開した「ファイル交換ソフト利用者実態調査」報告では、こんな結果が出た。この調査は、ACCSとRIAJが共同で実施したもの。調査期間は2001年5月〜2002年1月。また、今年1月にはアンケートサイトでも調査を行い、2万1060人から有効回答を得た。

　同調査によれば、2002年1月時点でのファイル交換ソフトの利用者は約68.4万人。これは、2257万人とされる国内インターネットユーザー（総務省発表）の3％にあたる。また、現在は利用していないが、これまでにファイル交換ソフトを利用したことのあるユーザーを合わせた「ファイル交換ソフト経験者」は約145万人にのぼるという。

　ACCSとRIAJでは、2001年5月にも同様の調査を実施。そのデータと比較すると、ファイル交換ソフトの利用者数は100.2万人から32万人減少している。前回調査では、「現在利用している」と「利用したことがある」を区別していなかったため、単純に比較することはできないが、ACCSでは「減少傾向にあることは明らか」と強調する。「Napster」が配信停止になったこと、それに昨年11月、「WinMX」ユーザーが逮捕されたことが、利用者数が減少した原因ではないかと、同調査では分析している。

「ファイル交換ソフト利用者実態調査」の結果について報告するACCSとRIAJ

ダウンロードは平均117、アップロードは平均121

　また、ファイル交換ソフトを利用してダウンロードされるコンテンツは、依然として音楽ファイルが中心であることが分かった。同調査によれば、ファイル交換ソフト利用者は平均で117ファイルをダウンロードしており、そのうち音楽ファイルは平均で75ファイルになるという。

　前回、Napsterでダウンロードされた音楽ファイルについて調べたところ、総数は4085万ファイルだった（2001年7月9日の記事参照）。今回の調査期間中に、Napsterがサービスを停止したものの、代わって「WinMX」や「Gnutella」などが台頭してきたことにより、累積では約7527万ファイルがダウンロードされたと試算している。

　ただし、今回の調査でACCSとRIAJは、「被害金額」を明らかにしていない。前回調査で、RIAJは「4085万曲×350円（楽曲ダウンロード販売の一般的な価格）」という計算式で、Napsterによる被害額は約142億9750万円であると強調していたが、「最近、ダウンロード販売の価格は一律ではなくなっている。また、ファイル交換ソフトでダウンロードしなければ、ダウンロード販売で購入するという明確な根拠はない」（ACCS）ため、今回は「被害額」という形での発表は控えたという。仮に1曲350円で試算した場合、被害額の総額は263億4450万円ということになる。

　また、ACCSとRIAJでは、ダウンロード件数だけでなく、2001年5月以降に発売された、浜崎あゆみやスピッツ、ミニモニなど人気アーティストの21曲について、アップロード（公開）状況も調査。毎週水曜日の20時〜21時の時間帯に、実際にファイル交換ソフトを利用して対象ファイルを検索したところ、発売から30週が経過しても公開されているファイルの数は1週目と大差なく、いったん公開されるとファイル交換ソフト上からなかなか消えない実態が浮き彫りになった。

　また同調査によれば、現在ファイル交換ソフトを利用しているユーザーが公開している（共有フォルダに入っている）ファイル数は平均121ファイルだという。

　利用者は減少傾向にあるファイル交換ソフトだが、同調査によれば、過去に利用経験のあるユーザーの10％が「また利用したい」と考えているほか、31％が「機会があれば利用したい」と回答。ACCSとRIAJでは「何らかの対策を講じなければ、再びファイル交換ソフトを利用したコンテンツの違法利用が急激に拡大する可能性もある」と危機感を強めている。

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関連リンク
コンピュータソフトウェア著作権協会
日本レコード協会

[中村琢磨, ITmedia]

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