ニュース 2002年6月4日 11:41 PM 更新

総務省、通信事業の競争政策見直しで意見募集

総務省は、情報通信審議会がまとめた「IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方に関する最終答申(草案)」を公開した。電気通信事業者における許可制の撤廃など、踏み込んだ内容が示されている

 総務省は6月4日、総務大臣の諮問機関である情報通信審議会がまとめた「IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方に関する最終答申(草案)」を公開し、意見募集を開始した。草案の基本的な考え方は、通信事業における新規参入の促進と公正な競争環境の整備。IP通信時代の市場構造変化に合わせ、競争の枠組みそのものを抜本的に見直す必要があるとしている。

 まず、新規参入の促進策として、設備とサービスの両面から競争を促す。有線や無線といったインフラの別を問わず、加入者系と中継系ネットワークの多様化とアクセス網のオープン化を推進するという。

 具体的には、再販(NTTから回線を借り受けてサービスを提供)のサービスを可能にする業務支援システム(OSS:Operation Support System)の開放。再販事業者がNTT東西の顧客データベースにアクセスして必要な情報を得ることが可能になる。既にDSLサービスなどでは一部実現しているが、今回の答申では、中継系ダークファイバー開通業務や加入者系ダークファイバーなども含む。

 これにより、事業者は自由にNTT東西に対して再販を求めることができる。NTT側が協議に応じない場合には、行政に対して協議の開始命令を求めることができるため、事実上、NTT側は断ることができない仕組みだ。

 一方、消費者保護という観点では、インターネット接続サービスに関する苦情や問い合わせが増加していることを踏まえ、救済策を講じる。


地方総合通信局や電気通信消費者相談センターに寄せられた苦情の内訳

 具体的な方策として、総務省のWebサイトを利用した消費者向けの情報提供、通信事業者や消費者団体との連携を強化するネットワークの構築、さらに「通信サービスプランナー」と呼ばれる資格を設け、消費者相談窓口などに配置することなどが挙げられている。

1種、2種の区分を廃止?

 通信事業者は、インフラの有無で1種と2種に分けられている。しかし、参入規制の大幅な緩和を目指し、この枠組みを「包括的に見直し」を図り、事業者の区分を撤廃する方針だ。これは、届出や登録によって事業を開始できる第2種の規制レベルにすべて合わせてしまおうというもの。1種の許可制を撤廃するのが主な目的となる。

 事実、最近ではCATVなど1部地域のみにサービスを提供している第1種がある一方、大手ISPに見られるように全国規模でサービスを提供する第2種電気通信事業者も多く存在する。「区分の垣根が低下している面がある」(答申)という判断は頷けるものだ。

 これに伴い、事業者は、利用者向けサービスの内容についても柔軟に見直せるようになる。例えば、現在のサービスでは、事業者側はまず契約約款を作成して公表する義務があるが、草案では、この部分を「当事者間の相対取引に委ねることが適当」としている。

 ただし、市場に大きな支配力を持つ事業者に関しては、やはり従来通りの契約約款を作成する義務を負うことになっているほか、利用者保護の観点から、契約時の情報提供の在り方を検討すること、そして不具合が生じた際には、行政が業務改善命令や料金変更命令などを発出できる枠組みが必要としている。

 草案を作成した情報通信審議会の「IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方についての特別部会」では、7月2日まで草案に対する意見を募集し、それを踏まえた審議調査を行ったうえで、最終答申案を策定する予定だ。

関連リンク
▼ 「IT競争政策特別部会 最終答申(草案)」に対する意見募集

[ITmedia]

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