ニュース 2002年6月7日 03:27 AM 更新

Streaming Media Japan 2002
ネットでも「逆転V」目指す? ――Vドラゴンズ

プロ野球の動画をネットで配信するという、中部日本放送の挑戦が続いている

 中日ドラゴンズファンは12球団のファン中、一番ネットになじみが深い観戦者になるかもしれない――。中日新聞社と中部日本放送、東海テレビ放送の3社で構成する「中日ドラゴンズ映像サービス協議会」は、プロ野球の中日ドラゴンズの公式映像をオンデマンド配信している(3月29日の記事参照)。その内容と今後の課題について、中日放送のCBCデジタルセンターデジタル事業推進部、水野弘之部長が「Streaming Media Japan 2002 Spring」で講演を行った。


CBCデジタルセンターの水野弘之部長

「究極のオンデマンド」サービス

 水野氏はサービスの狙いを、「究極のオンデマンド」サービスだ、と説明する。

 Vドラゴンズでは、試合中全イニングの内容を15〜30分のディレイのもとエンコード・アーカイブしており、各選手のワンプレー(ヒットやアウトに直結したプレー)ごとにオンデマンドで視聴できる。また、別途イニングごとのハイライトなども用意されている。

 これにより、「5点入った6回裏の攻撃を、ヒットだけ選んで視聴する」といった利用が可能となるわけだ。もちろん、その気になれば1試合の主要なプレーを全て視聴できる。


 「地上波放送のニュース番組では、ワールドカップやメジャーリーグのイチローなどに時間を取られ、中日選手の活躍をなかなか見られない。東京や大阪などではさらに視聴する機会が減ってしまい、名古屋人としてのアイデンティティを喪失しかねない」(水野氏)。Vドラゴンズなら、こうした問題に悩む必要はないと話した。

サービス提供までの道のり

 こうしたサービスを開始する際、課題となりがちなのが著作権の問題。だが、水野氏はこれらの権利について明快にクリアできたという。

 たとえば、選手の肖像権は今のところ球団に帰属するとされているし、試合の映像著作権も主催者球団に帰属する。また、コンテンツの「公衆送信権」についても、中日球団のオーナーでもある中日新聞が球団側と交渉するなどして、サービス提供3社で融通しあうことで解決した。

 また、配信システムについてはNTT-MEの地域IP網を利用した配信サービス「CDN-PrimeStage」を利用(記事参照)。さらに、コンテンツセンターには地上波放送に携わってきた編集マンを2チーム配備し、体勢を整えている。

改善の余地も?

 もっとも、ブロードバンド・コンテンツの世界はそう甘くはない。水野氏は成果について明示することを避けたが、「予想したようには、伸びていない」とコメント。原因として、“ドラゴンズファンとネットユーザーが、必ずしも一致していないこと”を挙げる。「これは、あらゆるストリーミングサービスにあてはまる問題だ」(水野氏)。

 今後の検討課題としては、映像提供時になんらかの工夫を行うことを挙げた。Vドラゴンズには実況アナウンスなどがついていないほか、またコンテンツを視聴する際に、予め結果が分かってしまうなどの点が指摘されている。

 「実況中継などは放送局として、真っ先に考えること。実際、局内で“遊んでいる”アナウンサーもいる。だが、採算が合うかどうか……。映像の提示方法については、ホームランシーンだけを集めたり、結果を分からないまま視聴できる形態を考えるなどしたい」(同)。

 6月8日現在、セ・リーグペナントレースで中日は26勝23敗で4位。まだ、優勝を諦めるような位置ではない。

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[杉浦正武, ITmedia]

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