ニュース 2002年6月11日 09:35 PM 更新

日本のインターネットには“県境”がある?

NTT法によって、インターネット関連の業務を地域に限定されるNTTグループ。同社の古賀取締役は、規制は現実にそぐわないと主張する

 ブロードバンド関連の通信事業に焦点をあてる、NTT東西地域会社。しかしその前に立ちふさがるのが、1985年の電電公社民営化にあたり制定された“NTT法”だ。同法ではNTT東西地域会社の業務を、地域通信事業に限定している(記事参照)。NTT東日本の古賀哲夫取締役は都内で行われた講演で、規制に真っ向から反論した。


NTT東日本の古賀取締役(EC研究会の講演で撮影)

 古賀氏が規制の話題に触れたのは、地域IP網を利用したIPテレビ電話サービス「フレッツ・コネクト」の課題に言及した時。NTT法の規制により他県のユーザーとの「県間通話」サービスを提供できない(記事参照)ことを挙げ、これは「音声通信での規制を、インターネット事業にまで持ち込んだもの」であり、規制は不当だと訴えた。

 「そもそも音声ですら、市内、県内市外、県間を分ける時点でユーザーの混乱を招いている。まして、インターネットとなればなおさらだ」。

 同氏はさらに、こうした“妙な規制”が存続するようでは、諸外国の失笑を買うと、手厳しく評した。

 「海外の事業者から事業について質問を受ける時、しばしば『NTT法による規制とは、何か』と聞かれる。そのとき私は、いつもこう答えるようにしている」。

 “日本のインターネットには『県境』があるんだ――”。

 すると、相手は一様に「そんな馬鹿なことがあるのか」とあきれた表情になるという。古賀氏は「そもそもインターネットによるサービスとは、国境がない(地理上の距離にとらわれない)もののはず。それを、今の日本では県の中でしかサービスできないという理論が、まかり通っている」と嘆いた。

「元電電公社」ゆえの足かせ

 古賀氏はこうした議論でよく出てくる「NTTグループは元々が『日本電信電話公社(電電公社)』であり、国営企業としての立場からインフラを構築・企業体力を蓄えてきたではないか」という意見にも反論する。

 「だが、よく考えて欲しい。鉄鋼業界でも、鉄道業界でも、元国営の企業はある。それらの企業が今、これほどの規制をうけているか? 我々は空いている通信インフラを、ほかの通信事業者に提供することすら、強制されている。だがこれは、『あの鉄道会社の線路を、電車が走っていない夜間に使わせろ』という主張にも似ているのではないだろうか?」

 昨今よくいわれるような、「市場に公平な競争原理を」という主張に対し、古賀氏はまったくの賛成だと繰り返す。

 「競争は大歓迎だ。むしろ、我々に公平な競争をさせてほしいのだ」。

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▼ EC研究会

[杉浦正武, ITmedia]

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