ニュース 2002年6月18日 10:24 PM 更新

ブロードバンドコンテンツ流通に必要な5つの技術とは?

ブロードバンドコンテンツが活発に流通するためには、“5つの要素技術”が必要――。FTTH時代を見据え、NTTサイバーコミュニケーション研究所は開発を進めている

 ブロードバンド時代のコンテンツ流通と、その課題とは? 6月18日に開催された「NTT-ATテクノフェア2002」では、このテーマに沿ってサイバーコミュニケーション総合研究所の白川英俊所長が講演を行った。

 白川氏はまず、ブロードバンドコンテンツ市場を活性化させるために「簡単に、安心して、すばやく、効率よく、快適に」コンテンツを流通させる必要があると説く。この考えに従って、同研究所が開発を進めているのは「製作支援技術」「著作権管理技術」「蓄積・検索技術」「メディア配信技術」「ブラウザ技術」の5分野だ。


サイバーコミュニケーション総合研究所の白川所長

 講演では、技術のデモンストレーションも行われた。製作支援技術として紹介されたのは、歌声合成システム「CyberSingers」。これはNTTが開発した技術「HORN法」(NTTのニュースリリース参照)を用い、肉声と比べても遜色のない歌唱音声を合成するというもの。

 CyberSingersを利用するには、あらかじめ合成用の音声をサンプリングして“学習データ”を作成しておくことが必要。その上で、楽曲の歌詞データおよびMIDIファイルによるメロディをプレイヤーに入力すれば、歌声合成エンジン“HORN”が自然な歌声を合成する。

 「楽曲の歌詞だけを変えることもできるし、流行歌を別の人間の声で歌わせることもできる」(白川氏)。マルチメディアコンテンツのBGM作成や、CG/アニメキャラクターに合わせた歌声生成などにも応用できるという。


CyberSingersのデモ。会場に流れる歌は、実は歌手の歌うものでなく「合成音声」だった、という趣向

 また「メディア配信技術」の例としては、ストリーム変換技術「TrampegII」も紹介された。MPEG-2でエンコードされた映像を、リアルタイムにMPEG-4に変換して配信することを可能にするという。

 TrampegIIは、「ストリームには光ファイバーによる“高速ストリーム”と、ADSL・ISDNなどの“中低速ストリーム”の2種類がある」という発想のもと開発されている。映像はいったんMPEG-2のエンコードにより3Mbps〜15Mbpsのビットレートで蓄積しておき、光ファイバーによる高速ストリームならそのまま配信、ADSLなどの中低速ストリームではリアルタイムにMPEG-4に変換し直して配信する。いわば、ネットワークの帯域・ユーザーの環境に合わせて配信するわけだ。

 「リアルタイムに変換できるから、ライブ配信にも対応している。MPEG-4のオーディオ規格である『TwinVQ』をサポートしており、ユーザーは帯域に応じた品質で音声を楽しめる」(白川氏)。

 NTTは、グループを挙げて光ファイバーネットワーク上での“HIKARIサービス”提供に向けて動いている。白川氏は、インフラの光化がそう遠くない話であることを強調した上で、今後はFTTH対応のコンテンツ・コマース・コミュニティを創り上げるべく、「各社と協力してマーケットクリエーションを行っている」と話した。

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[杉浦正武, ITmedia]

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