ニュース 2002年6月19日 05:37 PM 更新

イー・アクセスの「ADSLプラス」、その機能とは?

イー・アクセスは6月19日、下り速度の向上と長距離化を実現する新しいADSLサービス「ADSLプラス」を発表した。最大12Mbpsを実現できるユーザーは限られるものの、セキュリティの強化や長距離化を武器として、8M超サービスで先行するアッカ・ネットワークスに対抗する

 イー・アクセスは6月19日、下り速度の向上と長距離化を実現する新しいADSLサービス「ADSLプラス」を発表した。下りは最大12Mbps。各ISPは8月初旬から受付を開始し、10月よりサービスを開始する予定だ。

 ADSLプラスは、米Centilliumの「Palladia」チップ「eXtremeDSL」という名称で発表された高速化&長距離化技術を適用し、さらにイー・アクセスの独自技術を加えたものだ。主に4つの機能に分類できる。

1.「Speedプラス」

 S=1/2(えすにぶんのいち)技術と、それに伴う新しいエラー訂正技術を導入し、下り最大速度の向上を図る。対象となるユーザーは限られるものの、下り速度を“最大12Mbps”に設定して先行するアッカ・ネットワークスに対抗する(6月14日の記事を参照)。

 イー・アクセスでは「基本的には8Mサービスで8Mbps以上のリンク速度が出ているユーザーであれば、今以上の速度が期待できる」と話している。

2.「Reachプラス」

 伝送距離をNTT収容局からの線路長で6〜7キロに延長する長距離化技術。

 ADSLでは、モデムの電源を投入した際に回線状況を調べる「トレーニング」という作業を行い、各種のパラメータを設定する。イー・アクセスでは、このトレーニングに使う制御用信号を207KHz(周波数)の部分に設けていたが、「ここにノイズが生じるユーザーはリンクアップできず、従ってサービス自体を提供できなかった」(イー・アクセス)。その多くは、NTT収容局から遠い場所に居住するユーザーだ。

 Reachプラスでは、トレーニング時に使用する周波数帯域幅を広げ、制御信号を多重化する。つまり、別の周波数を使って複数の制御信号を流すことで、207KHz付近にノイズがあるユーザーもリンクアップできるようにする仕組みだ。これにより、NTT収容局からの距離が5キロ以上あるユーザーに対してもサービスを提供できるようになるという。

3.「Securityプラス」

 Centilliumの新しいADSLチップ「Palladia」を利用したセキュリティ機能。

 Palladiaは、ADSLモデムチップにRISCのネットワークプロセッサを統合したチップセットだ。ADSLモデムに加え、ルータ、ステートフル・インスペクション対応のファイアウォール、そしてVPNに使われるIPSecの専用ハードウェアなどが盛り込まれている(詳細は4月18日の記事を参照)。

 Palladia搭載のADSLモデムは、NECと住友電工が開発を進めている。もちろん、新サービスでは必然的にADSLモデムの変更が必要になる。

4.「Linkプラス」

 線路長にかかわらず、現行8Mサービスよりも100〜500Kbpsの速度向上を図る技術。アッカが採用を予定している「C.x」とは方式の異なるオーバーラップ技術が使われる予定だが、詳細は公表されていない。

上位サービスとして提供

 イー・アクセスでは、「ADSLプラス」を新しいサービスメニューと位置付け、10月から20の都道府県で提供を開始する予定だ。

 サービスエリアは、現在のエリアに6月下旬より拡大を予定している90局をプラスした計563収容局。日本テレコムから譲り受けたエリアに関しては、移管手続きの終了を待って順次サービスを開始する。「年内には移管が完了する。その後、全国規模でADSLプラスを展開する計画だ」(イー・アクセス)。

 既にBIGLOBE、@nifty、ASAHIネット、DTI、Panasonic hi-ho、ODN、東京電話インターネット、コジマネットなどのISPが対応を表明しており、8月初旬から申込み受付を開始する予定だ。料金はISPによって異なるが、BIGLOBEの場合は月額3380円と、現在の8Mbpsサービス(使いほーだいADSLeコース)の料金に100円だけ上乗せした形になっている。初期費用は2500円で、こちらは従来と同じ。

 また、イー・アクセスは同時に、さらに高速な「次世代版ADSLサービス」を今冬にも提供する計画があるとしている。詳細は明らかにされていないが、同社が5月の戦略発表会で示した最大16Mbpsあるいは最大20Mbpsのサービスと考えられるだろう(5月8日の記事を参照)。

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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