アリエル、P2Pコラボレーションソフトウェアを開発アリエル・ネットワークはピュアP2Pの技術を用いたコラボレーションソフトを開発した。これは、国内企業としては初めての試みという。9月から1ライセンス1万円前後で販売する
アリエル・ネットワークは6月20日、P2Pの技術を用いたコラボレーションソフトウェア「ArielAirOne」を開発したと発表した。ユーザー同士でP2Pネットワークを構築し、サーバを介さずにグループウェア機能を共有できる。9月より中小規模企業および一般ユーザー対象に、1万円前後でダウンロード販売する予定。 アリエル・ネットワークは、P2Pに注目する技術者5名によって2001年4月に設立されたベンチャー企業(現在の社員は10名)。すでに独自のプロトコルを用いたP2Pフレームワーク「SOMAnet」を開発しており、今回の「ArielAirOne」も、このフレームワークに沿って開発された。
アリエル・ネットワークの栗村信一郎社長 ArielAirOneの利用には、まずArielAirOneをユーザーPCにインストールする。その上でグループ設定を行い、特定のユーザー同士で「ルーム」と呼ばれるネットワークを形成する。ルームの最小構成人数は2名で、最大で約1万人程度のネットワークを構築することが可能。ルームは、複数を自由に作成できる。 製品には、複数のアプリケーションが用意されており、同じルームのメンバー同士で共有できる。具体的には、ワークグループの管理、メンバーのスケジュール共有化、タスクの進捗状況管理、メモ機能、文書ファイル共有など。オフラインで作業していても、オンラインにすると、その間にメンバーが変更を加えた部分が即座に反映される。
ArielAirOneのデモ。ブラウザベースのユーザーインタフェースを選択した(クリックで拡大) ポイントは、セキュリティ面を強化したこと。SSL、PKI(Publick Key Infrastructure)に基づき、通信を暗号化している。また、データをHTTPパケットにカプセル化する技術を用い、ファイアウォール内にいるユーザーでも利用可能にした。 もっとも、企業ユースを想定すると、データのバックアップなど、これ以外にも要求は多い。このため、同社は年末にはさらにノード(ネットワークに接続したクライアント)管理機能を追加した“エンタープライズ版”を販売する予定だ。
ArielAirOneを把握する上で、欠かせないのは「SOMAnet」フレームワークの仕組みの理解。これはインデックスデータを管理するサーバすら持たない、ピュアP2Pのシステムで、基本的にGnutellaと同様のものだ。 たとえば、AさんがBさんのスケジュールを閲覧する場合を想定する。この場合、まずAさんのノードからネットワーク全体に向けて、Lookupコマンドが投げられる。 これを受け取ったノードは自分のローカルファイルで当該データがないか検索し、見つからなければ隣のPCに伝播する。こうして次々とコマンドを中継し、Bさんのスケジュールを発見した時点で、Hitリプライを返す。そのHitリプライを受け取ったAさんは、直接Bさんと通信を行い、スケジュールのデータを取得するわけだ。 ただし、SOMAnetではローカルにキャッシュデータを保存して、ネットワークの負荷を軽減している。また、ユーザーの存在を通知する機構をソフトウェアに持たせるなど、ネットワークを効率的に利用できる仕様になっているという。 「実験的なシステムでもなければ、MP3など特定のファイルに特化したシステムでもない。詳細は明かせないが、Gnutellaよりも洗練されたシステムだ」(アリエル・ネットワーク)。 P2Pのコラボレーションツールといえば、「Notes」の開発者Ray Ozzie氏が創立した米Groove Networksによる「Groove」が有名だ。もっとも、アリエル・ネットワークはこれを「独自のユーザーインタフェースを持つため、動作が重いのが難点」と指摘する。 「また、外国では個人のスケジュールを非公開にするなど、日本とビジネス上の慣習が異なる。国内でP2Pコラボレーションツールを開発したことは、価値があると考えている」(アリエル・ネットワーク) 関連記事 スカイリー・ネット、“たまごっち”状のP2P端末を開発 著作権管理で、P2Pは生まれ変わる――CRL P2Pストリーミングがもたらす世界 “脱ファイル交換サービス”を訴えるP2P業界 関連リンク アリエル・ネットワーク [杉浦正武, ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
最新スペック搭載ゲームパソコン
最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
FEED BACK |