ニュース 2002年6月26日 01:41 AM 更新

“お上公認”ブロードバンド時代の理想的な企業は、意外にも……

急速にIT化が進む中、浮かぶ企業もあれば、沈む企業もある。経済産業省が考える、“ブロードバンドを有効活用している企業”とは、どこだろうか?

 ブロードバンド時代に、経済産業省が求める企業の在り方とは、どんなものだろうか。6月26日、モバイル・コンテンツ・フォーラムが主催する「ブロードバンド&モバイルセミナー」では、経済産業省メディアコンテンツ課課長、岸本周平氏が講演を行い、同省の考え方を示した。


メディアコンテンツ課の岸本課長。「お上の言うことは、あてにならないもの。私の言うことなど、頼りにしないほうがいいかも(笑)」

 岸本氏がやり玉にあげたのは、先日大規模なシステム障害を起こして業務改善命令まで受けた「某M銀行」(岸本氏)だ。3行統合の際に、3台のメインフレームをブリッジするシステム構成をとっていたという。

 「運用の便利さからいっても、コストメリットからいっても、普通はIPベースのオープンなアーキテクチャにするもの。旧態依然とした、危機管理上おかしいシステムといえる」。

 岸本氏はそもそも、いまだにメインフレームを利用している点が腑に落ちないと話す。

 「メインフレームは、世界で減少傾向にある。その中で、唯一売上を3%伸ばしている国が、日本だ。もっとも導入しているのは、日本政府と金融機関だけ。おおかた、いまや古い言語になってしまったCOBOLの技術者を、多人数抱えているからなのだろう」。こうした業務体制では、IT化の波に乗り遅れるとした。

吉本興業を、経団連に

 逆に岸本氏が高く評価したのは、吉本興業だ。同社はそのソフト制作力を生かして、多方面に事業を展開している(記事参照)。

 すでにFandango!などのサイトでブロードバンド事業を進めているほか、海外展開にも積極的。台湾でコメディアンを雇って、台湾人に台本を書かせて、吉本新喜劇と似たような舞台演芸を行っている。そうして、吉本興業はロイヤリティーをもらうという手法だ。

 こうした姿勢は、経済産業省がコンテンツプロバイダーに見本としてほしいようす。先日は、ついに吉本興業を経団連に入会してもらうに至ったという。

 「別に経団連に入ったから偉い企業というのではないが、鉄鋼業とか家電メーカーといった企業が名を連ねる中で、象徴的な出来事だったと思う」。

 岸本氏はまた、ブロードバンドの有効活用を狙うホリプロや、コナミにも経団連に入会してもらったと紹介。賛助金で補助されずとも、アントレプレナーとして活躍する企業のあり方が望ましいとした。

 「我々は役人ですから、ビジネス上のリスクをとって仕事をしていない。だから、現場でどんなサービスがヒットするかは分からないし、指導することもできない。ただし、“世の中変わるんですよ”というメッセージは、発信してきたい」。

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関連リンク
▼ 経済産業省

[杉浦正武, ITmedia]

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