ニュース	2002年7月8日　02:23 AM 更新

アッカが始める「IPv6／IPv4デュアルサービス」とは？

8月からアッカOCNユーザー向けに提供されるという、「IPv6／IPv4デュアルサービス」。先週のN+I会場でも展示されていたが、具体的にどのようなサービスなのだろうか

　8月に、アッカOCNユーザー向けに提供される見込みの「IPv6／IPv4デュアルサービス」（仮称）。先週の「NetWorld＋Interop 2002 Tokyo」でも展示されていたが（記事参照）、その内容をより詳しくお伝えしよう。

　このサービスの1つ目のポイントは、IPv6／IPv4の“デュアルスタック・サービス”である、という点。プロバイダから提供されるIPv6インターネット接続サービスでは、これまではIPv6パケットをカプセル化してIPv4ネットワーク内を通過させる「トンネリング接続」が一般的だった。既にNTTコミュニケーションズも、この方法でサービスを提供している。しかし、この方法ではIPv4ネットワーク内ではIPv4のパケットとして扱われるため、トラブル発生時に、原因がIPv6部分にあるのか、それともIPv4（トンネル部分）にあるのかを切り分けることが難しいなどの問題があった。

　「デュアルサービス」では、IPv6／IPv4両対応のルータ（デュアルスタック・ルータ）を設置することで、どちらのネットワークも利用できるようにしている。つまり、ユーザーとインターネットの間にNTTコミュニケーションズが独自のルータ群（仲介ネットワーク）を用意することで、IPv6パケットはIPv6ネットワークに、IPv4パケットはIPv4ネットワークに、それぞれルーティングするわけだ。

　もちろん利用にあたっては、別途ユーザー宅にもIPv6／IPv4両対応のルータモデムを用意する必要がある。アッカ・ネットワークが「推奨モデム」に認定したものなら、ファームウェアのバージョンアップだけで対応する見込みだ。

会場に並んだモデム群。推奨モデムになったものはファームウェア・アップデートだけでこのサービスに対応できるという

「ステートフルアドレス自動生成」対応

　もう1つのポイントは、このサービスがプラグ・アンド・プレイ（PnP）に対応している点。もっとも、これはIPv6で一般に“プラグ・アンド・プレイ”として説明される、単なる「ステートレスアドレス自動生成」ではない。順に説明しよう。

　IPv6では、あるルータの配下にあるLANにPCを接続すると、RA（ルータアドバタイジング）と呼ばれる手法によりIPアドレスの自動設定が行われる。手順としては、まずルータがPC側に、64ビットのアドレス情報（プレフィクス）を通告する。一方PC側は、48ビットからなる固有のMACアドレスを基に、64ビットの識別子（インタフェースID）を生成する。このプレフィクスとインタフェースIDを組み合わせることで、128ビットのIPv6アドレスが設定されるという仕組みだ（＝ステートレスアドレス自動生成）。

IETFの資料より抜粋。プレフィックスとインタフェースIDが組み合わさって、128ビットのIPv6アドレスが設定される

　しかし、今回のデュアルサービスではさらに、キャリア側（ネットワーク管理者）のルータがユーザー宅のルータモデムに、48ビットのプレフィクスを割り当てる。アッカ・ネットワークスのエッジネットワークに設置されたDHCPv6対応ルータによって、明示的にIPv6アドレスを設定・管理してしまうわけだ（＝ステートフルアドレス自動生成）。厳密には、“キャリア−ルータ間”はステートフルに管理し、“ルータ−PC間”はステートレスにアドレスを割り当てている。

会場で示されたネットワーク構成。各端末がアドレスを自動設定するのみならず、ユーザー宅内のルータモデムもPE（Provider Edge）からアドレスを取得する

　これによって、ステートレスアドレス自動生成だけでは不可能な、DNSサーバに関する情報の通知などを行えるほか、ルータモデムより上位にあるルータ情報などを設定する必要がない。NTTコミュニケーションズの説明員によれば、現在こうしたサービスを実際に提供している例は、ほかにないという。

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アッカ・ネットワークス
NTTコミュニケーションズ

[杉浦正武, ITmedia]

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