ニュース 2002年7月9日 00:18 AM 更新

ニフティ、IPOのタイミングは?

ニフティの新社長に就任した古河建純氏が記者懇談会で挨拶し、接続事業の好調さをアピールした。同社のブロードバンド会員は既に30万人を超えているが、これが50〜60万人になれば黒字転換する見通しという

 9日に都内で行われたニフティの記者懇談会で新社長の古河建純氏が挨拶し、接続事業の好調さをアピールした。しかし、一部の報道で話題になった株式上場については「まだ公開するタイミングではない」と、慎重な構えを見せている。


古河氏は、1965年に富士通信機製造(現在の富士通)に入社。マルチメディア・コンテンツ推進本部長やネットワークサービス本部長を歴任し、昨年ニフティの代表取締役副社長に。先月27日の人事で新社長に昇任した。渡辺武経前社長は、特別顧問としてニフティ全体をサポートするという

 古河氏はまず、ニフティのスローガンである「With us you can」を引き合いに出し、「ユーザー個々の自己実現を目指すプロバイダーになる」とビジョンを語った。ISPとしてのニフティは、マルチキャリア対応をうたい、現在では8社のADSL回線事業者をはじめ、FTTHやホットスポット接続においても複数のキャリアと協業している。「いつでもどこでもニフティのIDが1つあれば接続できる。将来のユビキタス時代に向けた接続サービスを提供していく」。

ブロードバンドで収支が好転

 ISPとはいえ、接続サービスの急激な低価格化は悩みのタネだ。しかし、同時に進んだブロードバンドへのシフトがニフティの収益構造に良い影響を与えているという。「ユーザーがADSLにシフトしたことにより、ダイヤルアップのトラフィックが減り、設備投資を抑制できるようになった。ダイヤルアップは、既に利益の回収フェーズに入っている」(古河氏)。

 一方のADSL接続は未だ赤字だが、黒字化も遠い話ではなさそうだ。ニフティ会員のうち、ブロードバンドユーザーは既に30万人を超えているが、「これが50〜60万人になれば黒字転換する見通しだ。今年度末か来年度の始めには達成できるだろう」。

 また、コストのかかる開発業務やコールセンターを含む運用面への投資は、この3年間、同じレベルで推移しているという。「(ニフティの事業は)しっかり収益の出る構造」と話している。

上場するタイミングではない

 事業の好調さをアピールした古河氏だが、最近話題になっているIPOについては慎重な構えを見せた。理由の1つは市場の状況だ。米AOLやアースリンク、さらにはトラッキング・ストックを使って国内で唯一上場したSo-netの例もあるが、ISPに対する市場の評価は一様に厳しいという。

「接続サービスだけでは市場の評価が低い。これを高めるには、コンテンツサービスで地歩を固めなければならない」。

 同社が矢継ぎ早に新サービスを発表してコンテンツ事業を拡大しているのは周知の事実。「今はコンテンツサービスを拡大して企業価値を高めるフェーズだ。上場するタイミングではない」(古河氏)。

 今のところ、今年度(2002年度)の売上目標700億円のうち、約14%がコンテンツ収入になる見通し。今後はそれをさらに進め、接続サービスに並ぶ事業の柱にまで育てる方針。IPOは、その後でも遅くないというスタンスのようだ。

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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