ニュース	2002年7月11日　11:02 PM 更新

NTT-BBが話す、ブロードバンドの「課題と対策」

4月に事業を開始して以来、ライブイベントなど各種コンテンツ配信に取り組んできたNTT-BB。3カ月が経った今、同社の考える課題と対策とは？

　4月に事業を開始した、NTTブロードバンドイニシアティブ（NTT-BB）。これまで2回にわたって「Globe」のライブ配信を行うなど、地域IP網を生かした高画質の映像配信が目立つ（記事参照）。7月11日、NTTソフトウェアの主催する「NTT SOFT Solution Fair 2002」で、NTT-BBシステム技術部長の星義隆氏が講演を行い、今後の課題と対策についてふれた。

NTT-BBシステム技術部長の星氏。話は高速化が進むADSL業界にも及び、「技術上は、（NTT局舎から）1キロ以内の場合で16Mbpsまで高速化できるそうだ」と紹介していた

　同氏が講演の中で、ブロードバンドサービスの課題として挙げたのは3つ。

　1つ目は、やはり回線状況を長時間安定した品質で維持できるかどうか。IPによるベストエフォート型ネットワーク上でコンテンツを配信する上、リソース管理が難しいPC上での動作を保証しなければならず、困難だという。これは、「ナローバンド時代からの問題だ」（星氏）。

　対策としては、IPマルチキャスト技術を採用した上で、ホームゲートウェイになるような一種のSTB型端末でハードウェアデコードを行うことが考えられる。

　星氏はさらに、先日の「Streaming Media Japan 2002」で話題を集めた“次世代WMT”こと「Corona」（記事参照）にも言及。「私も実際に見たが、データをバースト配信してしまうので、バッファにかかる時間が必要ない」と、その技術に魅力を感じたようすだった。

　2つ目は、PCの操作が初心者には難しいことだ。PCは家電製品と比べて起動に時間をとられるほか、関連するソフトをインストールして、環境を整える必要がある。また、各アプリケーションのパラメータ設定などが煩雑になりがちだ。

　この対策として、NTT-BBではユーザーのPC設定を自動で判定するツールを開発した。既に会員に、CD-ROMのかたちで無料配布しているという。

ツールのデモも行われた。ボタンひとつで、ユーザーの環境を示してくれる

　ユーザーはソフトウェアを利用して、簡単にCPU・メモリ・HDD空き容量などを判定できる。また、必要なソフトウェアがインストールされているか否かを判定する機能も備えており、足りないものを一覧形式で確認できる。この際、ソフト一覧の隣に配されたボタンを押すことでダウンロードサイトにジャンプできる仕様になっており、順にインストールしていけば、環境を整えられるという。

　これに加えてUPnPを導入すれば、ユーザー側でパラメータ設定をする必要もなくなる。星氏は先述のSTBと併せて、ユーザー側の設定負担を極小化したいと話した。

　3つ目は「PCはテレビと比べ、長時間の視聴は望めない」（星氏）という点。リビングルームで、家族で娯楽・教育コンテンツを視聴するという形態を思い描いているという。

　実現させるには、テレビ表示用のポータルサイトを別途、構築する必要がありそうだ。「PCとテレビでは画面サイズが異なってくるため、スクロールさせないと全体を表示できない可能性がある」（星氏）。同氏はまた、「会社から帰ってきてソファに座ったら、もうキーボードなんて叩きたくない」として、簡単に操作できるリモコンも必要だと話した。

　ほかに技術面で、映像配信時のインタフェース整備を進める光サービスアーキテクチャコンソーシアム仕様のRTSP（Real Time Streaming Protocol）を採用することや、一斉配信に適したコーデックであるMPEG2-TS（Transport Stream）に対応することも必要という。星氏は家電文化とインターネット文化を融合させることで、ユーザーはコンテンツの視聴・双方向コミュニケーション・Web閲覧の3つを同時に行えるような未来が来ると予想した。

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[杉浦正武, ITmedia]

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