ニュース 2002年7月16日 11:24 AM 更新

音楽配信「200円に値下げ」がもたらしたもの――エイベックス

一曲のダウンロード料金を200円に値下げし、7月に入ってWMT対応も果たした@MUSIC。これで音楽配信事業にも火がつくのだろうか?

 エイベックスが、音楽配信事業を積極展開している。同社が運営する有料音楽配信サイト「@MUSIC」では、6月からPCでのダウンロード料金を1曲200円に値下げ。7月に入ってWMT8にも対応するなど、サービス内容を充実させた。ソニー・ミュージックエンタテインメントもこの動きに合わせて値下げを実施するなど(7月1日の記事参照)、業界の活性化にもつながっているようだ。エイベックス ネットワークの常務取締役 前田治昌氏に、事業の現状と展望を聞いた。


エイベックス ネットワークの前田氏

 気になるのは、やはり値下げ後にダウンロード数がどう推移したか。前田氏は、具体的な数字の公表を避けたものの、 手応えを感じていると話す。

 「意外だったのは、新譜ではなく旧譜のダウンロード数が大幅に増えたこと。従来の数倍になっている」。

 傾向としては、ユーザー数が増加したというよりも、むしろユーザー1人あたりの購入タイトルが増えているという。前田氏は、値下げにより、普段手を出さないような楽曲にも“冒険”してみる余裕が出た結果ではないかと推測する。

 同氏はまた、いわゆる“売れ筋”の新譜でなく旧譜が売れた、ということの意味を強調する。ダウンロード販売が、既存のマーケットとバッティングしない「新しいマーケットになるという手ごたえを感じている」と話した。

 一方のWMT対応サービスは、まだ始まったばかりで対応する楽曲も少ない。「今回は、Windows Media Playerで再生できるのは新譜ばかりで、100−200曲程度」(同)。8月末頃には旧譜への対応も進むため、その頃にユーザーに支持されているか判断できるだろうという。

ユーザー層の拡大狙う

 音楽配信事業は、まだ一部のユーザーによる利用にとどまっている段階だ(記事参照)。前田氏はこの原因として、真っ先に課金方法の不備を挙げる。

 「現在メインユーザーとなっているのは20−30代だが、これはこれまでの決済方法が主にクレジット・カードだったから。ISP課金などを整備すれば、10代など低年齢層にも利用を広げられる」。

 7月から開始しているWMT対応サービスは、@nifty、BIGLOBE、DIONといったISPによる課金に対応している。今後、若年層がよく利用する携帯電話なども絡めて、決済方法を整備していきたいという。

 逆に言えば、今になってWMT対応をはたし、課金方法の整備に取り組んでいるのは、あまりに手際が悪いように思える。実をいえば、@MUSICは2年前のオープン当初から、将来のWMT対応をうたっている(記事参照)。なぜここまで対応が遅れたのだろうか。

 これに対し前田氏は、「音楽業界で足並みを揃えるのに、時間がかかった」と説明。レーベルゲートという統一ブランドの下で、各社サービスの相互運用性を確保・調整するのに時間をとられたという。「エイベックスだけで何かやる、というわけにはいかない。ユーザーからみたインタフェースが同じになるようにしなければ……」。

 とはいえ、ここにきてブロードバンド環境も含め、音楽配信サービスが飛躍するための環境が整ってきたことは確か。前田氏は「音楽配信は実験段階を終え、次の“ビジネスフェーズ”にきた。ここ半年から一年の間に、状況は大きく変わるだろう」と話した。

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▼ @MUSIC

[杉浦正武, ITmedia]

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