ニュース 2002年7月16日 00:31 AM 更新

ネットイヤーグループ、P2Pを利用したIMアプリを開発

ネットイヤーグループは、ワイヤレスP2Pを実現するミドルウェア「DECENTRA」に対応したIM(インスタントメッセンジャー)のアプリケーションを開発した。明日からWIRELESS JAPAN会場で展示する

 ネットイヤーグループは、P2P技術とサーバ/クライアント方式の技術を融合したハイブリッド型IM(インスタントメッセンジャー)アプリケーション「901」(仮称)を開発した。まだデモバージョンだが、明日から開催される「WIRELESS JAPAN 2002」で展示する。

 通信プロトコルにはJPPP(記事参照)を採用しており、スカイリー・ネットワークが開発したワイヤレスP2Pミドルウェア「DECENTRA」上で動作する。なお、ネットイヤーグループとスカイリー・ネットワークは今年の6月に提携を発表している(記事参照)。

 ネットイヤーグループは、通信キャリアやメーカーを対象にP2P技術のコンサルティングを手がける企業。これまで市場調査、経営戦略策定といった分野を得意としていたが、「アプリケーションを自ら開発することで、より総合的な戦略コンサルティングを行えるようになった」(ネットイヤーグループ)。今後は、携帯電話での利用を視野に入れて開発を続ける。

ホットスポットにエージェント端末を設置

 901の利用が想定されるのは、主に無線LANスポットだ。IMサービスの提供者は、予めスポットに“エージェント端末”を設置しておく必要がある。

 エージェント端末とは、P2P通信とクライアント/サーバ方式の通信との橋渡しの役目を担うノード。P2Pネットワーク内では、ほかのノードと同様「DECENTRA」プロトコルの通信を行うが、HTTP通信によってWebサーバとも通信を行う。「(P2Pフレームワークの)Jxtaの知識のある人は、そこでいう“ランデブーピア”のようなものと考えてもらえば分かりやすいかもしれない」(ネットイヤーグループ)。

 無線LANスポット内のユーザーは、P2P通信によってエージェント端末にアクセス、そこからインターネット経由でサービス提供者のサーバに接続、認証を行う。サーバ側ではアクセス情報を集積しているため、どのユーザーがどの無線LANスポット(どの地域)にいるか、位置情報を把握できる。 

 サーバはまた、各ユーザーが特定のユーザーを“友人”として登録した「バディリスト」も一元管理している。このデータを、先ほどの位置情報と組み合わせることにより、位置情報つきのバディリストを生成、端末側にデータとして送信するわけだ。ユーザーは901を立ち上げることで、友人が今どこのホットスポットにいるか確認できる。

バディリストをP2Pで共有

 901がP2P通信の特徴を生かすのはここからだ。各ユーザーは友人のステータスを確認して、オンラインのユーザー同士、IMにより会話できる。その際に、その友人が持つバディリストを参照して、「友だちの友だち」ともセッションを確立、会話できる。

 具体例で示そう。仮に「のび太」「静香ちゃん」「出来杉君」という3人のユーザーがいたとする。のび太と静香ちゃんは友だちで、静香ちゃんと出来杉君も友だちだが、のび太と出来杉君は面識がない。

 今、渋谷のQFRONTに設置された無線LANスポット内に、静香ちゃんと出来杉君がいて、新たにのび太がネットワークに参加した。のび太は友人である静香ちゃんのステータスがオンラインであることを発見するが、この時「静香ちゃん」のバディリストにある、静香ちゃんの友人こと「出来杉君」の存在も認識する。


デモ画面より。QFRONTにいるShizukaの下の階層に、Dekisugiがいるのが見える

 これにより、のび太と出来杉君はお互いバディリストに登録していないにも関わらず、静香ちゃんを仲介役として会話できる。もちろん、静香ちゃんがネットワークから抜ければ相互の通信経路が絶たれるため、通信は不可能になる。

女子高生のコミュニケーションツール?

 ネットイヤーグループは、アプリケーション開発にあたり、渋谷でたむろする女子高生の利用をイメージしたという。「ユーザーは、友だちの友だちへと新しい出会いを広げていくことができる」、というわけだ。

 とはいえ、発表会場では「無線LANで通信できる範囲にいるのだから、のび太は出来杉君に話し掛けてしまえばいいのに……」との声も聞かれた。これはしごくもっともな話で、ネットイヤーグループも「ビジネスモデルは、さらなるブラッシュアップが必要」と話す。

 今回のアプリケーション開発は、同社が経験を積むための取り組みといった要素がある。しかし、同時に業界関係者にP2Pアプリケーションの可能性を示し、携帯電話の通信キャリアにサービス採用を働きかける意図もあるようだ。

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[杉浦正武, ITmedia]

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