ニュース 2002年7月19日 07:09 PM 更新

IPv6はもはや未来ではなく「今のプロトコル」に

IETFでは多数のセッションが開催され、中でも「IPv6」が最重要トピックとなった。休憩なしに6時間近く発表と討議が行われ、現実的にサービスを実現するための具体案が多く出された

 7月14日からパシフィコ横浜で開催されていた「第54回IETF横浜会議」(54th IETF Meeting)が無事閉幕した。IETF(Internet Engineering Task Force)は、「RFC」シリーズのドキュメントで知られるインターネットの標準化組織で、通常は電子メールで議論しているが、年3回こうした「オフ会」的なミーティングを実施している。IETF Meetingが日本で開催されるのは初めてで、しかも英語圏以外での開催は今回の横浜会議が初めて。

WIDE Project代表の村井純氏。 今回のIETF横浜会議は、ホスト役のWIDE Projectが、スポンサーの富士通などとともに会議運営やネットワーク運営をおこなった。
 IETFにはさまざまなトピックを話し合うワーキンググループがあり、多数のセッションが開催されたが、今回の最重要トピックはやはりIPv6だろう。18日に非公式ミーティングをはさんでほとんど休憩なしに6時間近く発表と討議がおこなわれたが、現実的にサービスを実現するために「どの方法を選択するか」といった具体的内容のものが多く見られたのが印象的だった。いつまでも議論をしてばかりいられない、という意識がはっきりとしてきたようだ。たとえばPrefix Delegationでは、実現方法の候補が、これまでの7つから2つに絞り込む提案がなされ、会場内からは大筋で賛意が寄せられていた(IETFはこうしたオフライン会合では「決定」をしないため、今後のインターネット上での決定待ちであるが、おおよそ絞り込みの方向になると思われる)。

IPv6ワーキンググループの発表は、活発な討議と多数のトピックで盛り上がった
ランチタイムに非公式ミーティングが設定されたため、昼食を取らずにスナック菓子で空腹を紛らわした参加者も少なくなかった
 総括の記者説明会でWIDE Project代表の村井純 慶應義塾大学教授が述べたところによると、IETFの総会で、司会をつとめた重鎮メンバーから「インターネットの次のプロトコルはIPv6ではありません」という発言があったという。ぎょっとする言葉だが、これは『次の(未来の)プロトコルではなく“今の”プロトコルである』という趣旨の発言で、IETFコミュニティの中では、IPv6が本当に普及するのだろうか?といった不安は完全に払拭されたようだ。

 ちなみに、IETFは「走りながら決める」「動かしてみて選ぶ・決める」という標準化手法をとっており、IPv6サービスが本格的に立ち上がろうかという時期にまだワーキンググループで議論しているというのは驚くことではないという。(もっとも、IPv6商用サービスのスタートが相次いでいることは、議論を現実路線で収束させる方向の圧力になっている)

 IETF Meetingのもうひとつの顔が、「IETFの中で起こっていることは、明日ふつうに起きること」という、インターネット世界の先駆者(あるいは実験台か)としてのもの。今回、会場や参加者の宿泊するホテル、およびスタッフ愛用のコーヒーショップを広域でカバーする無線LANアクセスサービスが提供され、参加者はどこでも24時間インターネットにつながった状態となっていた。

会場内に設置されたアクセスポイント。廊下や会議室内に多数設置された
 9割近い参加者が無線LAN対応のノートパソコンを抱え、IETFのウェブサイトでドキュメントやスケジュールを確認したり、メールのやりとりなどをしていた。Telephony Number Mapping WGでは、ミーティング中に出てきた提案を、プロジェクターに接続された発表用PCから参加者が見ている前でメーリングリストに発信していたが、このあたりは実に「IETFらしい」印象的な光景だった。

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[記事提供:RBBTODAY ]



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