ニュース 2002年7月26日 07:03 PM 更新

無線LANなんていらない? 「アイススポット」という考え方

“ホットスポット”で世間が騒がしい中、その対極をいく概念が登場した。ネットワーク・ヒューマン・インターフェース研究会は、「アイススポット」という空間を提唱する

 昨今、多くの企業が相次いで“ホットスポット参入”を決めているが、その流れに待ったをかける考え方が登場した。ネットワーク・ヒューマン・インターフェース研究会が提唱する、ネットワークが通じない空間「アイススポット」である。

 ネットワーク・ヒューマン・インターフェース研究会とは、今年3月に初会合を行った総務省の研究機関。“国民がITの恩恵を十分に享受することのできる、次世代のネットワーク・ヒューマン・インターフェースの在り方を検討する”のが狙いで、このほどその報告書がまとめられた。詳細な内容は7月末にも公表される予定だ。

 発表に先立って一部公開された資料によると、報告書内では近未来のネットワーク社会の様子が、架空のストーリー仕立てで表現されている。ストーリーは全部で10話用意されており、その多くは「ITを駆使した、便利で豊かな社会」が描かれているが、異彩を放つのは第2話の「IT嫌いのサラリーマン」。くだんの“アイススポット”は、ここで登場している。

A市が「アイスタウン構想」を打ち出す?

 まずはその出だしを、少し紹介しよう。

 「いつの頃からだろう。世の中には携帯電話が氾濫し、ウェアラブルだユビキタスだとITが大流行。(中略)どこに行ってもみんなネットワークカメラのついた機械を持ち歩いているし、おちおち安心して外も歩けない。そりゃあ、好きなやつはいいさ……」。

 主人公はIT嫌いのサラリーマンで、ネットワーク化が進む社会を「ずいぶんと住みにくい世の中だな」と感じている。特にネットワーク接続カメラが大の苦手で、「いつも誰かに写真を撮られてないかビクビクしたり、いつでも呼び出されたりするのは嫌だ」と考えている。

 そんな時、A市が“アイスタウン構想”を打ち出し、ITに縛られない街づくりを開始した。サラリーマンは早速その街に住むことにし、「静かでのんびりした良い街だ」と喜ぶことになる。

 アイスタウンでは、大掛かりな非ネットワーク地区を作ってあり、そこでは限定的にしか情報通信ネットワークを使えない。市民は急な連絡の際にのみ、「所々に公衆電話のようにある」ホットスポットを利用することになる。もっとも、各家庭には光回線が収容されているから、仕事などでネットワークを利用したい時には、存分に使うことができる。

 主人公は毎朝、駅から“Non-IT車両”に乗って職場へ向かう。「昔はNon-IT車両なんてなかったから、座ってて突然喋りだすヤツとか、ずっとニヤニヤ頷いているヤツとかがいてなんだか気分が悪かった」が、今は快適だと感じている。

 駅を降りれば、そこはホットスポットがあふれるホットタウンだ。サラリーマンは早速、「アンチ・ユビキタス・バッチ」を着用して、ネットワークカメラの存在に備える。これにより、人のカメラに写っても自動的にモザイクがかかるのだ。

 ちなみにホットタウン内でも、ところどころには情報通信ネットワークの届かないアイススポットが設置されており、「昼休みにはわざわざそこに行って読書なんかをしている人もいる」。スポットは薄い水色の光の幕で包まれており、一目で存在が分かるようになっている。

 このアイススポット、サービス名称としては平仮名で「ほっとすぽっと」と呼ばれている。物語の終わりでは「確かにのんびりと“ほっと”できる。昔と逆の意味になるとはね(笑)」と、これまた寒い――もとい、クールなダジャレで締められている。

関連記事
▼ NTTグループにみるホットスポット“次の一手”
▼ NTTコム、月額1600円で“ホットスポット”を展開
▼ 「Yahoo! BBモバイル」発表――全国にホットスポット展開、月額2280円
▼ NTT-MEもホットスポット ポイントは「オープン型」
▼ メルコ、公衆無線LANの「導入キット」発表――無料スポット普及に注力
▼ スピードネットもam/pmで公衆無線LAN実験

関連リンク
▼ 総務省「『ネットワーク・ヒューマン・インターフェース研究会』の開催」

[杉浦正武, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.



モバイルショップ

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!