ニュース 2002年8月1日 02:39 AM 更新

“ネットワークPVR”の可能性と現実

MPEG-2キャプチャボードの普及により、国内でもPVR(Personal Video Recorder)に対する認知度が高まっている。これをネットワーク化して付加価値を高めたものが「ネットワークPVR」と呼ばれるサービスだ

 MPEG-2キャプチャボードの普及により、国内でもPVR(Personal Video Recorder)に対する認知度が高まっている。今のところ、地上波やCATVの放送をパソコンのHDDに録画する、あるいは専用のHDDレコーダーを利用するケースがメインだが、CATVサービスであれば、これをネットワーク化してさらに付加価値を高めることができる。これが「ネットワークPVR」と呼ばれるサービスだ。

 PVRの魅力は、HDDの高速アクセスを活かした「追っかけ再生」や手早い頭出し、EPG(電子番組表)を使った録画予約などの操作性だ。また、大容量HDDに「録り貯め」をしておくこともできるうえ、消去も簡単。録画時に残り時間を気にすることは少ない。

 PVRの機能をネットワーク上で実現する技術は、VoDの応用であり、とくに難しいものではない。ネットワークPVRシステム(同社ではPVC:Personal Video Channelと呼ぶ)で実績を持つコンカレント日本によると、「CATV普及率の高い北米では実際にサービスが提供されており、VoDと比較してもストリームの稼働率が高い」という。


コンカレント日本の資料より

 仕組みも特に複雑なものではない。CATVのセンター側で放送番組を片っ端からサーバに蓄積しておき、番組ごとに切り分ける。ユーザーは、STBのメニューで放送局や時間、番組のジャンルで選択し、いつでも視聴できる。録画予約など最初から不要だ。放送開始と同時に蓄積を始めるため、家庭用PVRと同様の「追っかけ再生」にも対応している。

 また、一般的なPVRはチューナーを1台しか搭載していないため、裏番組を録画することはできないが、ネットワークPVRにそんな制限はない。ストレージ容量も桁が違ううえ、センター側に装置が集中しているため、機能アップや媒体容量の拡大が容易だ。コストは共有するサーバを加入者がワリカンで負担すればいい。

 下りの伝送路にはCATVの空きチャンネルを使い、リクエストを出す(上り)ときだけインターネット接続サービスのDOCSISモデムを経由する。ケーブルモデムとSTBが一体化したホームターミナルがあれば、家庭の大画面TVとリモコンで手軽にサービスを利用できるだろう。

 こうした機能は、日本の家電メーカー各社が「ホームサーバ」で実現を目指しているものだ。時間割に沿った従来のTV視聴方法は意味がなくなり、「PVCはTVの見方を根本から変えるだろう」(コンカレントジャパン)

 しかし、国内でネットワークPVRのサービスを提供する場合、多くの障害が待ち構えている。「番組の著作権、放送権、そしてコマーシャルの扱い方など、複雑な権利処理が絡み、あえて乗り出そうとする事業者はいないのが現状だ」(コンカレント)。技術的には可能であっても、権利処理の煩雑さが新サービスの登場を阻む。残念ながら、これが日本の現状だ。

関連リンク
▼ コンカレント日本

[芹澤隆徳, ITmedia]

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