ニュース 2002年8月1日 11:45 PM 更新

電話料金は下がる? それとも上がる?

情報通信審議会は、NTTの接続料算定のあり方について答申草案をまとめた。NTTの接続料が大幅に下がるとの報道もあるが、実態は……

 8月1日、情報通信審議会の電気通信事業部会が「長期増分費用モデルの見直しを踏まえた接続料算定の在り方について」という答申の草案をまとめた(総務省のサイトで参照可能)。これは3月27日に総務省から諮問をうけ、審議を重ねてきたもの。同部会では8月30日まで広く意見を募集し、その調査審議を行った上で答申する。

 「長期増分費用方式」とは、より客観的かつ具体的な接続料算定を目指して、電気通信審議会が審議してきた基本ルール。今年3月には改定モデルが確定しており、今回の答申草案は「モデルに従って、具体的にどう値付けをするかということ」(総務省)を審議した結果となる。

 草案発表を受けて、一部「接続料を大幅に値下げする案が提示された」とする報道があり、NTT側も「厳しい財務状況の中、(中略)更なる減収となるような接続料の見直しは受け容れられません」とのコメントを発表した。エンドユーザーからすれば、電話料金が安くなるのかと期待したくなるが、実際はそうとも言い切れないようだ。

算定値で、GC接続料は下がったが……

 草案では、改定モデルに沿った算定結果が示されている(料金はいずれも3分あたり)。

2002年度接続料改定モデル算定値
GC(加入者交換機)接続4.5円4.13円
ZC(中継交換機)接続4.78円5.21円

 これを見ると、GC接続(市単位で交換機と接続する方式)を行った場合、接続料は8.2%値下げとなる。一方、ZC接続(都道府県単位で交換機と接続する方式)の場合は、接続料は逆に9.0%の値上げだ。ちなみにメディアや平成電電といった、マイライン新規参入のキャリアは、接続拠点が少なくてすむZC接続を行っている(記事参照)。

 もっとも、この料金で確定というわけではない。今回の値は、2001年度上期のトラフィックをもとに、下期のトラフィックを予測して算定したもの。この“トラフィック入力値”が、適切か否かというのが争点の1つだ。

 答申草案によれば、「改定モデルの適用期間中、トラフィックを固定する方法」と「毎年入れ替える方法」の2種類が考えられるとしており、さらに各々について、実績トラフィック/予測トラフィックのいずれを入力するかという問題がある。この点は「引き続き審議を行う」とされている。

 また、加入者回線コスト(NTSコスト)を直接加入者に負担させてはどうかとの議論もある。この場合、電話の基本料が上がる代わりに、接続料が下がる。

 加入者回線コストとは、具体的にはき線点に設置される装置「き線点RT」にかかる費用など。この装置は、複数の加入者線を多重して市内交換機に接続する役割を果たしている。き線点RTコストを基本料に付け替えた場合、GC接続料が3.75円になる代わりに、月額基本料が106.5円値上げされることになるという。

 き線点RTのほかに、き線点RT〜GC局間の伝送路や、加入者ポートまで基本料に付け替えるという発想もある。この場合、GC接続料は2.18円にまで引き下げられるが、基本料は512.4円引き上げられる。

 答申草案では、こうしたNTSコストの基本料金への転換を、「社会的合意も困難と考えられる」とし、「なお慎重な検討を必要とする」とコメントしている。

 なお、近年マイラインによる競争が起きていることから、き線点RTコストを“定額接続料”として、接続事業者から回収する方法も取り沙汰されている。これについて答申草案は「整理すべき課題が少なくない」と前置きした上で、今後検討を続けるとしている。

 結局、現段階ではまだ「値下げ」とも「値上げ」とも、明確な結論は出ていない。電話料金が下がるか上がるか、ユーザーはもう少し、推移を見守る必要がありそうだ。

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[杉浦正武, ITmedia]

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