ニュース 2002年8月5日 03:13 AM 更新

ニフティの「Software on Demand」で極楽ゲーム生活?

ニフティが開始したPCゲームのオンデマンド配信サービス「Software on Demand」を試してみた。いくつかの難点はあるものの、暑いと家から出たくなくなる怠け者にとっては、まさに待ち焦がれたサービスだ

 ニフティは8月5日、PCソフトのオンデマンド配信サービス「Software on Demand」を開始した。ブロードバンド回線を通じ、パッケージ販売されているソフトを月極料金で利用できるというもの。暑いと外出することさえ億劫になってしまう怠け者にとって(誰だ?)、まさに待ち焦がれたサービスだ。


(C)2002 Systemsoft Alpha Corporation

 ソフトウェアをオンデマンドで利用する仕組みは、富士通が5月にリリースした「Applications on the Fly」(通称:AppFly)。AppFlyは、アプリケーションをブロック単位にエンコードしておき、起動に必要なブロックだけを最初に配信。その後、必要に応じてブロックをバックグラウンドでダウンロードする、いわばアプリケーションの“ストリーミング”配信サービスだ。

 ユーザーは、利用したい期間だけ料金を支払えばいい。パッケージソフトを買いに出かける手間が省けるうえ、気に入れなければ最初の1カ月間で解約するだけ。@nifty会員はもちろん、他社ISPを使っている場合でも、ニフティのCombo会員の登録を行えば利用できる。料金は、会費と一緒に引き落とされる。

 第1弾として提供されるのは、ニフティが日本コンピュータゲーム協会(JCGA)と協力して集めた8社9タイトル。ゲームによっては最初の1カ月でクリアすることも可能だろうが、そこはやはり月額課金のサービスだ。時間をかけ、じっくり、何度でもプレイできる、シミュレーションゲームが中心になっている。

 料金はパッケージ価格に連動しているようで、1万円を超えるソフトは月額1000円程度、5000円以下で販売されているものは月額500〜800円といったところ。お試し版と考えると少し高い気もするが、こちらは時間や機能を制限されないフル版だ。過剰包装のパッケージがなくなり、ユーザーは省スペース化、メーカーはコスト削減に役立つ。もちろん、地球にもやさしい。

ソフト月額料金提供開始日
キッチンぱにっく500円8月5日
羅刹1000円8月5日
Disc Station Online500円9月中旬
大戦略VII1000円8月5日
高校野球道EX800円8月5日
イースI完全版600円8月中旬
VantageMasterオンライン500円8月5日
銀河英雄伝説VI SG600円8月5日
マリオネットカンパニー2600円8月中旬

 ニフティによると、256Kbps以上の帯域幅を持つ回線であれば、支障なく利用できるという。早速、実効1.6MbpsのADSL回線で試してみた。お目当ては、中学生時代にハマった「イースI完全版」!……だったのだが、残念ながらイースの提供は8月中旬より。これはお盆休みの楽しみにとっておくことにして、今回は「大戦略VII」を選択した。

Windows XPは未サポート

 Software on Demandの利用環境は、アプリケーションに左右される。2000-2001年あたりにリリースされたゲームが多い今のラインアップであれば、Pentium II/266MHz以上のパワーがあればプレイできる。ギガマシンも当たり前になった昨今、CPUパワーが不足することは少ないだろう。

 と思ったのだが、ちょっと甘かった。PCには、事前にクライアントソフト「EXEtender」をインストールしておく必要があるのだが、これがWindows XPに対応していない。サポートOSはWindows 95/98/Meのみで、XPと2000は今秋対応予定だ。XPにアップグレードしたユーザーは、少し待たなければならない。

 幸い、Windows XPが登場したとき、PCを買い増していたのでMe機が残っていた。少々非力なCeleron/366MHzマシンだ。そこはかとない不安を感じつつ、スピーカーやらディスプレイやらを繋ぎ直し、起動する。

 ゲームを開始する前に、EXEtenderをインストールして、申込みページからニフティIDとログインパスワードを入力。これで月額1000円がISP料金と同時に口座から引き落とされる仕組みだ。なお、利用を中止する際は、解約しておかないと、永遠に引き落とされ続けてしまうので注意してほしい。

 申込みが済み、ゲーム紹介ページの左上にある「プレイ」ボタンを押すと、システム環境のチェックが始まった。メモリやHDD容量はOKだが、さすが昨年から放置プレイされていたマシンだけあって、Direct XとCPUの項目に“問題アリ”と診断されてしまう。不安的中だ。

 ただ、Direct Xはインストールすれば済むが、CPUパワーが足りないとは心外。大戦略VIIに450MHz必要とは聞いてない。パッケージ版の推奨環境でも400MHzだ(←結局、足りない)。


システムチェックは、青、黄、赤の3段階で表示。Direct Xのバージョンが古いときは、ダウンロードページへのリンクも表示してくれる

 ニフティ広報によると、ここでチェックされるのはあくまでも「推奨環境」だという。クライアントソフトがバックグラウンドで動作するぶん、パッケージ版よりも余裕を持たせているようだ。したがって、ゲーム紹介ページにある必要条件をクリアしていれば動作は可能という。

 ただ、どうせシステムをチェックしてくれるのなら“申込み前”にやってほしいような……などと素朴な感想を抱きつつ、EXEtender Playerの「プレイ」ボタンを押す。起動に必要なブロックをすべてダウンロードするため、初回だけは少し時間がかかるのだ。


EXEtender Playerの画面(出典:ニフティ)

気になる初回のダウンロード時間

 8月5日に行われた発表会では、Bフレッツ回線を使ってダウンロードしたため、ほんの数分で大戦略VIIが起動していた。が、ADSLでは、さすがにそうはいかない。起動に必要なファイルは約250Mバイトあり、実効1.6MbpsのADSLでは25分程度かかった。なお、途中でダウンロードを中断しても、再開すれば続きからダウンロードしてくれる。

 ダウンロードが終わると、すぐにゲームが起動した。ここで新たな疑問が……マニュアルは? 「キッチンぱにっく」など、別のゲームでは、紹介ページに「マニュアルボタン」があり、PDFもしくはHTML形式のマニュアルをダウンロードできるようになっていた。しかし、大戦略のページには、このボタンが見あたらないのだ。あの大戦略をマニュアルなしでやれと?? (完全な素人です)。

 ニフティ広報によると、ゲーム内で詳細な「ヘルプ」を参照できるゲームに関しては、マニュアルボタンを用意していないという。改めて画面をみると、あった。ヘルプの中にゲームの進行や表の見方まで、詳細に書いてある。これで安心してプレイできるというものだ(編集部注:広報をサポート代わりに使うのは止めましょう)。

データはすべてHDD内に保持

 プレイ時の動作状態は良好で、途中でHDDが鳴り出すこと(ダウンロードが行われている)以外、パッケージ版と遜色ない。必要なファイルはPC内に保存されているため、反応が遅いということもない。機能面も、メール対戦(大戦略VIIの対戦機能)に対応していないことを除けば、パッケージ版と同じのようだ。著作権処理が間に合わず、画面写真を掲載できないのが残念だが、しっかり動作していた。

 ところで、複数のゲームを購入すると、HDD容量も気になってくる。必要な分だけダウンロードする「ストリーミング」形式とはいえ、動画のストリーミングなどと異なり、それまでにダウンロードしたデータはすべてHDD内に保持されるからだ。

 EXEtenderでは、HDD上にアプリケーションを保存するフォルダを作成する。やはり1ゲームあたり数百Mバイトを消費するが、HDD容量が足りないと判断されたときは、「EXEtender設定ツール」が自動的に起動。ウィザードに従い、不要なアプリケーションやファイルを削除すればいい。

新作ゲームにも期待

 Windows XPへの非対応など、いくつかの課題は残されているものの、Software on Demandはブロードバンドを活かした、お手軽なASPサービスとして評価できる。今後は、新作ゲームをはじめ、教育ソフトの配信や新発売ソフトのプロモーションなどにも同サービスが活用される予定だという。また、月額課金だけではなく、起動回数による課金などの機能も追加する計画。今後の拡張に期待が持てるサービスだ。

 お盆休みは、エアコンの効いた涼しい部屋でゲーム三昧。ある意味、かなり贅沢な過ごし方だと思うのだが、いかがでしょう?

関連記事
▼ ニフティ、ゲームソフトの有償ストリーミング配信サービス

関連リンク
▼ 大戦略VII(システムソフト)
▼ AppFlyのニュースリリース(富士通)

[芹澤隆徳, ITmedia]

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