ニュース 2002年8月27日 02:28 AM 更新

韓国のオンラインコンテンツが儲かっているワケ

お隣り韓国では、ブロードバンドを生かした一部のオンラインコンテンツが軌道に乗っている。成功例が出始めた、その理由とは?

 韓国で、オンラインコンテンツの成功例が出始めている。オンライン上でユーザーの分身となるキャラクター「アバター」の有料サービスを開始した「SayClub」では、2001年3月から毎月10億ウォン(約1億円)を売上げている。また、オンラインゲームサイト「Hangame.naver.com」では、2002年上半期の売上が30億円、営業利益が13.6億円に上った。

 韓国企業と提携して、コミュニティサイト構築支援や情報、ノウハウ提供などを行うガイアックスは26日、「ブロードバンド時代、IT業界ビジネスモデル構築へ向けて」と題するセミナーを行った。同社戦略企画部の許賢(ホウヒョン)氏は、韓国のオンラインコンテンツが成功している理由をいくつか挙げた。

便利な「携帯電話入金」と「ARS入金」

 許氏はまず、韓国では社会インフラとして、オンラインコンテンツの課金システムが発達していることに言及する。

 「日本でおなじみの、クレジットカード、ISP課金、前払いカードといった決済手段もある。しかし、これらを利用した決済額は、全体の15%ほどでしかない。多くのユーザーは、“携帯電話入金”と“ARS入金”を利用している」(許氏)。

 携帯電話入金とは、コンテンツ料金を携帯電話の月額使用料に上乗せする決済方法。ユーザーはコンテンツ購入にあたり、サイト上で携帯電話の番号と、国民1人1人に割り当てられた「国民登録番号」を入力する。「オンライン決済額の20%は、携帯電話によって入金されている」(同)。

 またARS入金とは、コンテンツ料金を固定の電話代に上乗せする決済方法。ユーザーはコンテンツ購入時に、まずサイトに記載された7−10桁のシリアルナンバーをメモする。

 次に、サイトで指定された番号に電話をかけ、音声の指示に従ってさきほどのシリアルナンバーを順にプッシュする。すると、電話口から別のシリアルナンバーが告知されるので、ユーザーは再びこれをメモする。

 あとは、この番号をコンテンツ購入したサイトの指定する欄に入力すれば、購入手続きは完了する。「ARS入金なら、子供でも簡単に利用できる。ただし、セキュリティ上の問題から、利用限度額を設けてある場合が多い」(同)。それでも、オンライン決済額の65%は、ARS入金を利用したものだという。

リアルとバーチャルの橋渡し

 許氏はまた、韓国で成功しているサイトは、オンラインの世界とリアルの世界をうまくリンクさせる工夫をしていると紹介する。

 たとえば、前述の「Hangame.naver.com」は、ネット対戦によりバーチャルなお金をやり取りするサイト。ただし、ゲームに勝った場合の賞金を2倍にできる「チャンス」(100円)など、さまざまなアイテムがリアルのお金で販売されている。このアイテム中に、ゲームで大勝負に出て破産した場合、その80%を復旧してくれるという、非常に重宝する保険アイテムがある。

 実はこのアイテム、リアルの世界で保険商品を扱うサムスン火災(samsungfire.com)が提供するもの。ユーザーが保険アイテムを購入するには、サムスン火災のサイトにアクセスして会員登録を行う必要がある。ここで、オンラインの世界とリアルの世界が結びつくわけだ。

 また、韓国の放送局であるMBCのサイト「imbc」では、3Dのアバターサービスを提供している。アバターは、移動したり、「笑う」「怒る」などの感情を表現したりするたび、体力ゲージが減ってしまう。体力ゲージを回復させるには、「ほかのアバターにキスしてもらう」などいくつか方法があるが、てっとり早いのは「自動販売機でジュースを買って飲む」ことだ。


放送局のサイトだけに、ドラマの世界が舞台となっている。ユーザーはドラマの主人公になった気分で、アバターを操作できる。写真は自販機でジュースを買っているところ

 ジュースは、無料で購入できる。オンライン上でも、リアルの世界でも、料金はかからない。ただしここには仕掛けがあって、この飲料が、実際に販売している飲料とまったく同じ名称、デザインなのだ。これにより、缶ジュースが一種の“広告”になっているという。

 国内のコミュニティサイト構築支援を行うガイアックスとしても、オンラインとリアルを結びつけるこうした仕組みは、ぜひ導入したいとした。「オンラインコンテンツは、工夫次第でいろいろな産業と組み合わせることができる」(許氏)。

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▼ ガイアックス

[杉浦正武, ITmedia]

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