自治体の条例に「住基ネット」の影響総務省がまとめた「個人情報保護条例の制定状況」によると、全国にある3288の自治体のうち、約3分の2が個人情報保護に関する条例を制定しているという。その内容は、住基ネットや個人情報保護法案の影響を受けて変化しつつある
総務省は3日、地方公共団体における個人情報保護条例の制定状況をまとめた。これによると、2002年4月時点で3288ある地方公共団体(都道府県および市町村)のうち、約3分の2にあたる2161団体(65.7%)が個人情報に関する条例を制定しているという。これは、前年同期に比べて179団体の増加となる。 個人情報保護条例の制定には、住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)が影響している。本来は住基ネットと対になるはずだった「個人情報保護法」(案)は、報道規制につながるとして議論を呼び、未だ住基ネットの独り歩き状態。自治体レベルの対応も求められている。
昨年同期と比較すると、条例に盛り込まれた規定内容が微妙に変化していることが分かる。例えば、規定の対象に民間部門を含むケースが急増していることだ。 民間部門とは、個人情報を扱う民間の事業者を指す。つまり、クレジットカードやレンタルビデオ店の会員証を作るときなどに記入する個人情報も対象になる。 民間部門まで併せて規定の対象とした地方自治体は1163。条例を制定した自治体の53%に上る。前年同期は、544(27.3%)だった。 「個人情報保護法案が民間部門を対象に含んでおり、それにならった自治体が増えたものと思われる」(総務省自治行政局地域情報政策室)。
個人情報を入力した端末を外部と接続することを禁止する自治体もある。もちろんセキュリティ確保のためだが、住基ネットが“外部との接続”である以上、この種の規定は有名無実化している模様だ。「住基ネットは“法律”であり、法律は“条例”に優先する」(総務省)。 「他の機関とのオンライン禁止」を規定している自治体は、昨年同期の334(16.8%)から171(7.8%)に減少。これらの自治体は「オンライン制限」に移行した模様で、「制限」を規定する自治体の数は1591(72.4%)に上った(前年は1218団体、61.1%)。 既に住基ネットは稼働しており、接続を拒否した自治体以外はすべてオンラインだ。来年の資料には「禁止」の項目がなくなっているのかもしれない。
このほかの規定を項目別にみると、情報の「改ざん、滅失、漏洩等の防止」(92.3%)や「自己情報の開示請求」(96.7%)に関する項目などが増加傾向にある。しかし、情報漏洩などが認められた場合の「罰則」規定を設けた自治体は少数だ。 総務省によると、団体職員(地方公務員)を対象とした罰則を規定した条例は120(5.5%)、受託業者や従業員を対象にしたものも187(8.5%)に止まるという。いずれかを含む条例を数えても204(9.3%)と、全体の1割に満たない。 「職員は、地方公務員法で情報漏洩に関する罰則が規定されている。また、受託業者は(自治体との)契約のうえで縛られるはずだ」(総務省)。しかし、自治体と企業の契約だけでは、従業員個人の行為に対して責任を追及することは難しく、また罰則を設けることも困難だろう。 既に動き出した住基ネットは、「個人情報を1カ所に集めた、リスク分散という考え方がみられないシステム」(あるアナリスト)。悪意のあるハッカーや個人が利用できないセキュアな体制を整えることは大前提だが、それを抑止する仕組みも重要だ。ただし、報道規制は除外したうえで。 関連記事 自治体サーバは危ない? 電子自治体で失敗しない秘訣 杉並区、住基ネットの賛否を問うネット投票 関連リンク 個人情報の保護に関する条例の制定状況(総務省) [芹澤隆徳, ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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