ニュース 2002年9月6日 03:15 AM 更新

Review
Windows Media Player 9(β)の仕上がり具合(1/4)

ハリウッドで派手な演出と共に発表された「Windows Media Technologies 9」。機能面や使い勝手でほかのプレーヤーと同レベルか、それ以上に改善されている。これだけでも正式版への期待が高まるが、さらにブロードバンドユーザーに嬉しい機能が備わっている

 まだβ版でしかないというのに、ハリウッドで派手な演出と共に発表された「Windows Media Technologies 9」(以下WMT9)、コードネーム「Corona」だが、その特徴を聞きかじっただけでは、多くのユーザーが自分には関係のない製品だと感じたかもしれない。

 なにしろ、「24bit/96KHzの高品質なオーディオをマルチチャンネルで再生できる」とか、「HDTV解像度のビデオを高品質に圧縮できる」とか、AV家電のハイエンド製品に近いスペックばかりが並ぶ。魅力的で将来性を感じるものの、今すぐエンドユーザーの手に届くとは考えにくい……。

 そんな気がしてしまうのも無理はない。Windows Mediaが高品質なフォーマットをサポートしたからといって、CDやDVDビデオがアップサンプリングされるわけではない(オーディオデータなら16bit/44KHzを24bit/88KHzにアップサンプリングするソフトウェアフィルタが出てくるかもしれないが、その前にPC用オーディオがそのフォーマットに対応しなければ……)。

 しかし、プレーヤーソフトの「Windows Media Player 9」を用い、CDをリッピングして管理したり、ブロードバンドメディアにアクセスしたりといった、これまでと同じ使い方でも、多くの改善点を見つけることができる。


Windows Media 9のWebサイトでは、5.1チャンネル対応のオーディオデータをダウンロードして再生できる。いずれも24bit/48KHz


こちらはWindows Media 9でエンコードされた映画予告編。ストリーム配信の500Kbpsでもかなりきれいだが、ダウンロード版は1Mbpsでさらに美しい。「Hart's War」は最初から最後まで見ることができる(ただし米国内からアクセスした場合のみ。日本からは再生できない)

大きく改善された音質

 WMT9では、主に著作権管理機能とビデオ品質の向上にフォーカスが当たっているが、もう少し手近なところでオーディオの圧縮クオリティが改善されたことも大きい。これまでのWindows Media Audio(WMA)は、ロービットレートでの音質の評価は高かったものの、ハイビットレートでは他の方式に比べて「ワイドレンジながら音痩せが激しい」といった評価が一般的だった。

 しかし、エンコーダを刷新したWMA9では、従来の固定ビットレート(CBR)の音質を改善しているほか、可変ビットレート(VBR)やロスレス圧縮に対応することで、この問題に対応している。


従来のCBRに加えてVBRもサポート。より高いビットレートに設定可能になった。さらに下位互換性は失われるがロスレス圧縮もサポートした

 CBRモードの圧縮は、とくに64Kbps以下での音質が改善され、全体的に品質が向上した印象はあるものの、あくまで従来のWMA8の延長線上にあるという印象。大きなジャンプアップは感じられない。しかしVBRモードでエンコードすると、同程度のサイズに圧縮した場合の情報量が大きく向上する。

 WMA9のVBRモードは、40〜75Kbps、50〜95Kbps、85〜145Kbps、135〜215Kbps、240〜355Kbpsから品質を選択可能。WMA8のCBRでは、最高でも192Kbpsまでだったが、WMA9は135〜215Kbpsに設定すればそのクオリティを超えてしまう。最高品質の240〜355Kbpsでは、それなりに高価なオーディオシステムにデジタルで接続し、WAVファイルとじっくり聞き比べないと違いが分からないほど高品質な録音が可能だ。

 一方、WMAロスレス圧縮は、完全に元のビットストリームを再現可能な圧縮方式である。可逆圧縮のため、基本的にCDと全く同じクオリティでハードディスクに記録できる。そのぶんビットレートは高く、470〜940KbpsのVBRデータになる。音楽CDは1200Kbpsだから、ベストケースでは1/3程度までは圧縮できるものの、ワーストケースでは半分にも圧縮できないことになる。

 手元のCDで試してみたところ、一般的なポップスやジャズなどのCDは、ほぼ半分(600Kbps)になる程度だった。とはいえ、現在のハードディスク容量の増加ペースと価格を考えれば、音質重視のユーザーには受け入れられる容量ではないだろうか。

 なお、VBRデータは既存のWindows Media対応デバイスで再生可能だった(Creative NOMADO MuvoとiRever Slim-xで確認)が、ロスレス圧縮データはそれらのデバイスで再生することができない(Windows Media Player 7、8ではコーデックが自動ダウンロードできるため再生可能)。Windows Media PlayerにはCD-Rやポータブルプレーヤーにデータをコピーする際、フォーマットを自動変換する機能があるため、この機能を用いてデータの移動を行う必要がある。


デバイスへコピーする際に指定するビットレートはCBRのまま。互換性を考慮した結果かもしれないが、手持ちの機器はすべてVBRをサポートしている。正式版ではVBRサポートも欲しいところ

[本田雅一, ITmedia]

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