ニュース 2002年9月10日 01:54 AM 更新

得する(?)仮想世界「どりむ島」

どりこむは仮想都市型エンターテインメントサイト「どりむ島」を9日にプレオープンした。バーチャルな通貨を実際の商品に換えることができるリアルバリュー追求型のアバターサービスだ

 先行する韓国に負けじと国内でもアバターサービスが乱立しているが、「リアル世界との連携」という点で他社を一歩リードするサイトが登場した。どりこむが9月9日にプレオープンした「どりむ島」は、仮想世界で流通する通貨で現実の商品を購入したり、就職して貯蓄できたり、といったユニークな特徴を持つ。


どりむ島の広さは東京ドーム約64個ぶん。右側の建物はゲームセンター

 どりむ島は、オール3Dで描かれた2キロ四方(という設定の)のバーチャルワールド。住居をはじめ、ショッピングセンター、ゲームパーク、カジノなどが立ち並び、ユーザーはアバター(化身)を使って自由に歩き回ることができる。季節は現実世界とリンクしているため、春になれば桜が咲き乱れ、クリスマスには華やかなイルミネーションが島を彩るという。


インフォメーションセンターの役割を持つ「どりこむ本社」の中

マーケティングツールとしての仮想世界

 島の中で目立つのが、協賛企業のパビリオンだ。どりむ島には、さまざまな分野の有名企業が協賛しており、趣向を凝らしたパビリオンを建設中だ。例えば、アサヒ飲料は島の中央に巨大な「コンセプトサン」(ペットボトル)、商船三井は「日本丸」、トステムなど住宅メーカーは、実際に販売されている住宅を忠実に再現した住宅展示場といった具合だ。また、ダイハツ工業は、小型オープン2シーター「コペン」の販促のため、レーシングゲームを提供する予定。こうした企業アトラクションも魅力の1つだという。


「旨茶」型スロットマシンの向こうには巨大なコンセプトサン

 協賛企業は、前述の4社に加え、旭化成、ミサワホームなど10社。どりこむの田中弘子社長は「企業はECの展開にくわえ、広告宣伝やマーケティングリサーチの場としてどりむ島を活用できる」として、企業の参加を促す。

 一方、企業側もさまざまなアイデアを持っているようだ。トステムでは、「全国に60ヵ所のショウルームがあるが、どりむ島を61ヵ所めに選んだ。(どりむ島を)顧客との打ち合わせやシミュレーションにも活用したい」という。仮想世界は、日本でもマーケティングツールとして認知され始めたようだ。


トステムの住宅展示場

稼いで貯める、カジノで増やす?

 どりむ島のコンテンツは基本的に無料で利用できるが、月額300円で「島民」登録するといくつかのメリットがある。

 まず、家が建つ。「島民は、モデルハウスの中から好きな家を選んで島に建てることができる。家は新聞やメールが届くほか、友達とのチャットなどに利用できるプライベートなスペース」(同社)。

 また、島民は仮想通貨「ドム」を貯めることができる。1ドムは10円に相当し、ゲームパークやカジノ、イベント参加などさまざまな場所で入手可能。換金こそできないものの、ショッピングセンターで現実の商品を購入することができる。「リアルバリューがユーザーの利用頻度を高めるだろう」(同社)。
カジノで遊びすぎてドムがなくなったら、島内の銀行でドムを購入することも可能だ(カジノの利用には年齢制限あり)。

 さらに、どりむ島には「バーチャルワーカー」と呼ばれる就職の仕組みがある。島内の案内(ガイドキャスト)や、ほかの島民に迷惑をかけるユーザーの摘発(ポリスキャスト)、あるいは企業主催イベントのスタッフなど、職種もさまざま。報酬はドムで支給される。「高齢者やハンディキャップを持つ方、外で働けない主婦なども無理なく働ける」(同社)のがメリット。2003年春頃には音声認識システムが導入する計画で、これによってさらに雇用層を拡大できるという。


映画館は11月オープン予定。新作映画の紹介やチケット販売案内など

本格オープンは11月

 どりむ島の本格オープンは11月11日。プレオープン期間中に島民登録したユーザーを対象として、ダイハツ工業の「コペン」やナイトクルーズ(商船三井提供)が当たる豪華なキャンペーンを実施中だ。また、半年間もしくは1年間の長期一括契約をしたユーザーには、もれなくボーナスドム(200〜450ドム)がプレゼントされる。

 月額料金の決済手段は、郵便振込み(9月9日より)、口座引き落とし、クレジットカード、コンビニ決済(11月11日より)。今後はISP経由の決済なども加えていく方針だという。

 なお、どりむ島に入るには、ゲームデータをダウンロードしてインストール、その後「どりむ島」サイトからログインするという手順になる。ダウンロード時のファイル容量は106Mバイト。動作環境はPentium III/400MHz以上のWindows PCとなっているが、オール3Dのリアルタイムレンダリングのため、動作はかなり重い。快適に動かすには、ギガヘルツクラスのCPUが必要だろう。



関連リンク
▼ ドリコム
▼ どりむ島

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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