ニュース 2002年9月12日 00:24 AM 更新

ブレイクするか? e-ラーニング、日韓の状況

韓国では、オンライン授業のみのサイバー大学が4年制大学として認定されるほど、e-ラーニングが盛ん。国内業界も、これを追いかけようとしている段階だ

 韓国のe-ラーニングが発展しつつある。韓国教育開発院の調査によれば、同サービスの市場規模は、2002年で1兆ウォン(=1000億円)を予測。2005年には15兆ウォンまで拡大する見込みだ。日本国内でも、この流れに追随しようとする動きがある。

 12日に開催されたiPark Tokyo主催の「KOREA TECH セミナー」では、日韓のe-ラーニングの状況が紹介された。

韓国の場合

 NTTデータユニバーシティのe-Learning グループ、チェドンヒョン氏は、韓国のe-ラーニングが発展する背景には、政府の支援があると話す。

 2001年、韓国政府はオンライン上でのみ授業を行う“サイバー大学”を、4年制大学として認定した。これにより、現在ではサイバー大学が15校を数え、1万6700人の生徒を抱える。2003年には、サイバー大学は19校に増える見込みだ。

 一般の大学でも、e-ラーニングを導入するケースが増えた。梨花女子大学は、1998年度からサイバー教育を実施。産学協同でコンテンツ開発を行っており、100講座程度のe-ラーニングコースをそろえているという。

 現在は、多数の企業がオンライン学習サービスに参入しているが、「安くする以外に差別化要因を持たないような企業は、淘汰が進んでいる」(同)。

 e-ラーニングコンテンツの開発がスムーズに運ぶよう、プラットフォームの標準化活動も行われている。

 韓国の各事業者が対応を進めているのは、「SCORM」(Sharable Content Object Reference Model)と呼ばれる規格(記事参照)。これは米国でe-ラーニングの標準化を推進するために設立された団体、ADL(Advanced Distributed Learning)によって制定が進められているもの。これにより、コンテンツの将来の修正やシステム機能の拡張が容易になるという。

日本の場合

 こうした流れを受け、韓国のe-ラーニングを輸入しようとする日本企業もある。

 松下電工インフォメーションシステムズは、韓国企業と提携し、e-ラーニング関連システムをローカライズして国内販売する企業。2002年4月には、韓国4CSOFTが開発したコンテンツオーサリングツール「Active Tutor」の新バージョン(5ライセンスパックで150万円)をリリースしている。


Active Tutorはビデオ撮影した映像をPCに取り込み、ウィザード形式でコンテンツ制作できるソフトウェア。Power Pointなどの画像なども取り込み可能だ(写真はActive Tutorで制作したコンテンツ)

 同社マルチメディアソリューション事業部、市田尚一部長は、「新入社員のOJT(On The Job training)などは、e-ラーニングにしてしまえばいい」と話す。

 「Active Tutorなら、素人がビデオ撮影をして、1時間かければコンテンツを制作できる。作業現場での機器の操作手順などを、現場で手軽に映像にできる」(市田氏)。現在、二プロ、トヨタ自動車、日経BPなど数十社に同社のシステムが導入されているという。

 もっとも、「日本のe-ラーニング市場は、韓国に比べて、3〜5年は遅れている」(市田氏)。同社の事業は、まだまだ始まったばかりで、手探りの状況のようだ。

 「7月下旬に開催された『e-Learning WORLD 2002』(記事参照では、業界としても盛り上がっている手ごたえを感じた」(同)。前出のチェ氏の説明によれば、国内のe-ラーニング市場は2010年に1兆円規模に成長するという。

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▼ iPark Tokyo

[杉浦正武, ITmedia]

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