ニュース 2002年9月30日 03:03 AM 更新

TTC、スペクトル管理問題の議事録を公開

情報通信技術委員会(TTC)は9月30日、第16回第四部門委員会第六専門委員会の議事録を公開した。事業者間の対立もあったようだが、どのような話し合いがもたれたのだろうか

 情報通信技術委員会(TTC)は9月30日、第16回第四部門委員会第六専門委員会(WG4-6)の審議内容をホームページ上で公開した。TTCでは従来、審議を非公開としていたが、スペクトル管理問題でビー・ビー・テクノロジーが動議を提出したことに伴い、“注目が集まる中、混乱を避けるため”公開に転じた(これまでの経緯は別記事参照)。

 公開されたのは、議事録および会議に提出された寄書(各社の資料や意見)。ただし、専門委員会の承認をえた第16回(8月29日)の議事録、および起案者が同意した寄書のみの公開となった。

改定案は“WG4-6に提案できず”

 議事録を見て、まず気が付くのが第四部門委員会第六専門委員会サブワーキンググループ5(SWG465)が「今回のWG4-6には、JJ-100.01改定案(=「TTC標準」第2.0版)を提出できなかった」と記録されている点。

 議事録には理由として、「8月19日に全ドラフトを全面改訂する新提案が出されたこと、その後、7月31日の議論を否定する意見がメンバから提出されたことで、SWG465のコンセンサスが得られなかった」ことなどが挙げられている。

 7月31日のSWG465で話し合われた改定案とは、イー・アクセスが参考として提案した、ビー・ビー・テクノロジー(BBT)の提供する12Mbps Annex A.exを“標準外”とするものを指す。これがWG4-6に提案できなかったということは、改定案の採用が延期あるいは棚上げされたことを意味する。8月30日にBBTが「ドラフト(新分類案)はいったん取り下げになったと認識している」とコメントしているのは(記事参照)、これを指すと思われる。

 もっとも、アッカネットワークスは「7月31日の会合出席者の合意に基づいたドラフトを、WG4-6に付議すべき」と表明したことが記録されている。どうやらまだ、事業者間で議論がくすぶっているようだ。

サブワーキンググループは当面開催せず

 議事録では、SWG465についても記載がある。それによれば、「SWG465はJJ100.01の改版を進めるべきでないとの意見がBBTから提出され、その結論が出ていないため、当分の間、開催しない」とのこと。

 WG4-6で議論するためのたたき台は、今後TTC事務局が提案し、各社のコンセンサスにより決定する。記録によれば、これに参加者全員が合意したという。

 SWG465に関しては、そのあり方を議論するために、できるだけ早くWG4-6を開催することを参加者全員が確認した。BBT側は会議中「SWG465は適性を欠いたメンバーで構成された委員会である」と発言しているが、このあたりの組織体制がどうなるかは、引き続き議論の対象となるようだ。

合意に至った内容は少ない

 今回、公開された内容を見ると、全体に合意に至った事項が少ない印象を受ける。BBTの異論を受けて、とりあえずTTC標準改訂版の採用を見送り、SWG465の活動を休止した。また、議事録公開のルールを決めた、といった合意がなされただけで、そのほかの議題の結論を出すのはは今後に持ち越されたようだ。

 その後、9月26日に第17回WG4-6が開催されているが、こちらはまだ、審議内容が“速報”としての扱いで、明らかにされている情報量が少ない。10月17日には、既存の議題などを審議するため、再びWG4-6が開催される予定だ。



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関連リンク
▼ 情報通信技術委員会(TTC)

[杉浦正武, ITmedia]

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